土砂災害警戒区域とは?レッドゾーンとの違いと賃貸を借りる際の注意点を解説
災害・防災気に入った賃貸物件が見つかり、念のため調べてみたら土砂災害警戒区域に入っていた。けれども現地は整った住宅地で、崖らしい崖も見当たらない。なぜここが指定されているのか腑に落ちない。そんな状態で判断に迷っていないでしょうか。
その違和感は、見落としがあったために生じたものではありません。区域の線は、その場所の見た目ではなく、傾斜の角度や高さといった数値の基準によって引かれています。だからこそ、擁壁で整えられた住宅地でも指定されることがあるのです。
そして、指定されている物件を借りてはいけないという決まりはありません。この記事では、区域が指定される仕組みとレッドゾーンとの違いを整理したうえで、契約前に確認したいポイントまでをまとめました。
見た目が普通の住宅地でも土砂災害警戒区域に指定される3つの理由
現地を歩いても危険を感じないのに区域に入っている、という状況は珍しくありません。特に横浜市のように斜面を切り開いて広がった街では、整備された住宅地の中に区域の線が引かれていることがあります。しかし、それは行政の判断が実態と食い違っているという意味ではありません。ここでは指定の仕組みを3つの理由から解きほぐし、制度の目的まで確認していきます。
1.理由①指定は見た目ではなく数値の基準で決まる
区域の線は、地形の数値をもとに引かれています。危なそうに見えるかどうかという印象は、判断の材料にはなりません。
対象となる土砂災害は3種類あり、それぞれに基準が定められています。
| 土砂災害の種類 | 指定の基準となる地形 |
|---|---|
| がけ崩れ(急傾斜地の崩壊) | 傾斜度が30度以上で、高さが5m以上の斜面 |
| 土石流 | 土石流が発生するおそれのある渓流のうち、勾配が2度以上の区域 |
| 地すべり | 地すべりが発生するおそれのある区域と、その下流側の一定範囲 |
住宅地で多いのは、がけ崩れによる指定です。傾斜度30度というのは、角度で見ればそれほど急には感じられません。高さ5mも、2階建ての建物とほぼ同じ程度でしょう。
つまり、日常的に見慣れた斜面であっても基準を満たしている場合があります。「急な崖」という言葉から想像する光景と、基準が示す範囲にはずれがあるのです。
(参考:国土交通省「土砂災害防止法の概要」)
2.理由②土砂が届く範囲まで区域に含まれる
もうひとつの理由は、区域が斜面そのものよりも広く設定されていることです。
区域に含まれるのは、崩れる可能性のある斜面だけではありません。崩れた土砂が到達しうる範囲まで含めて線が引かれています。
がけ崩れの場合、次の範囲が区域となります。
- 斜面の上端から、水平距離で10m以内の範囲
- 斜面の下端から、斜面の高さの2倍(50mを超える場合は50m)以内の範囲
高さ10mの斜面であれば、その下側20mまでが区域に含まれる計算です。道路を1本はさんだ向かい側の建物が区域に入っている、という状況もここから生まれます。
敷地の中に斜面がなくても指定されるのは、このためです。自分の足元ではなく、周囲から土砂が届くかどうかで判断されていると理解しておきましょう。
(参考:国土交通省「土砂災害防止法の概要」)
3.理由③造成された住宅地の下に元の地形が残っている
3つめは、街のつくられ方に関わる理由です。
斜面地の住宅地は、もともとの傾斜地を削ったり盛ったりして平らな敷地をつくり、段差を擁壁で支える形で整備されてきました。いわゆる、ひな壇状の造成地です。
地表は平らに見えても、段と段の間には基準を満たす高さの斜面が残っています。住宅の裏手や隣地との境界にある擁壁が、まさにその斜面にあたります。人の手が入っていても、土砂災害防止法の基準では斜面として扱われるわけです。
横浜市のように起伏の多い地形の上に街が広がった地域では、この構造があちこちに見られます。見た目が整っていることと、地形の条件が消えていることは別の話です。
現地で崖が見当たらないのに区域に入っている場合、目の前の擁壁がその答えであることが少なくありません。
4.区域指定の目的は「危険を知らせて避難に備える」こと
ここまで指定の仕組みを見てきましたが、最後に制度の目的を押さえておきましょう。
土砂災害警戒区域は、土砂災害防止法にもとづいて都道府県知事が指定します。その目的は、危険のある場所を住民に知らせることと、避難の体制を整えることにあります。
具体的には、市町村の地域防災計画に警戒避難体制が定められ、ハザードマップが作成・配布されます。高齢者や乳幼児など、避難に支援が必要な方への情報の伝え方も定められることになっています。
つまり区域指定は、立ち入りや居住を禁じる制度ではありません。情報を届けて備えてもらうための仕組みです。「指定された=住んではいけない」ではないという点を、まず押さえておいてください。
(参考:国土交通省「土砂災害防止法の概要」)
イエローゾーンとレッドゾーンの違い|4つの視点で見分ける
土砂災害に関する区域には、土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域の2つがあります。通称としてイエローゾーン、レッドゾーンと呼ばれるものです。名前が似ているうえに色で区別されるため、危険度の段階だと受け取られがちですが、実際には目的も基準も異なる別の指定です。ここでは4つの視点から違いを整理していきます。
1.違い①指定の目的
まず押さえたいのは、2つの区域が目指しているものが違うという点です。
イエローゾーンの目的は、危険を知らせて避難の体制を整えることにあります。前章で見たとおり、情報を届けるための仕組みです。
一方のレッドゾーンは、建物への被害そのものを防ぐことを目的としています。土砂によって建物が壊れ、中にいる人に著しい危害が及ぶおそれのある範囲が対象です。
この違いは、区域内で何が行われるかに直結します。イエローゾーンで整えられるのは避難の仕組みであり、レッドゾーンで加えられるのは建物や開発への規制です。同じ土砂災害を扱いながら、対処の方向が分かれていると理解しておきましょう。
2.違い②判断の基準
次に、線を引く基準の違いです。
イエローゾーンは、崩れた土砂が届く範囲で線が引かれます。到達するかどうかが判断の軸になります。
これに対してレッドゾーンは、土砂が建物に与える力の大きさで判断されます。一般的な建物が耐えられる力を、土砂の力が上回ると見込まれる範囲が指定の対象です。
そのため、レッドゾーンはイエローゾーンの内側に位置します。斜面に近いほど土砂の力は大きくなるため、斜面寄りの部分がレッドゾーン、その外側に広がる部分がイエローゾーンという構造になっています。
地図を見るときは、この位置関係を思い浮かべてください。レッドだけが単独で存在することはありません。
3.違い③かかる規制
3つめは、実際にどんな制限があるかという違いです。
イエローゾーンには、建築や開発に関する制限がありません。危険の周知と避難体制の整備が中心で、建てられる建物の種類が変わることもないのです。
レッドゾーンでは、次のような措置がとられます。
- 住宅の分譲や、高齢者・子どもなどが利用する施設の建築を目的とした開発行為は、都道府県知事の許可が必要
- 居室のある建築物は、土砂の力に耐えられる構造とすることが求められる
- 著しい危害が生じるおそれのある建築物には、移転などの勧告が行われる場合がある
規制があるというと不安に感じるかもしれません。しかし建物側から見れば、レッドゾーンの指定後に建てられた建物は、土砂の力を想定した構造になっているということでもあります。
4.借りる人にとっての意味
最後に、借りる立場から2つの区域を読み替えてみましょう。
イエローゾーンは、「避難の準備をしておく区域」と捉えるのが実態に近い区分です。建物への規制がない以上、備えの中心は情報の受け取り方と避難経路の確認になります。
レッドゾーンは、「建物側に一定の基準が求められる区域」といえます。ただし規制がかかるのは指定後に建てられる建物であり、それ以前からある建物がすべて基準を満たしているわけではありません。建築の時期を確認しておくと判断しやすくなります。
どちらの区域も、賃貸契約を禁じるものではありません。区域の種類によって、自分が注意を向けるべき場所が変わると考えてください。
▼イエローゾーンとレッドゾーンの比較
| 比較項目 | イエローゾーン(土砂災害警戒区域) | レッドゾーン(土砂災害特別警戒区域) |
|---|---|---|
| 指定の目的 | 危険の周知と避難体制の整備 | 建物の被害を防ぐための規制 |
| 判断の基準 | 土砂が到達するおそれがある範囲 | 建物が耐えられる力を上回る範囲 |
| 位置関係 | レッドゾーンの外側に広がる | イエローゾーンの内側 |
| かかる規制 | 建築・開発の制限はなし | 開発許可、構造規制、移転の勧告 |
| 借りる人にとっての意味 | 避難の準備が必要な区域 | 建物の構造と建築時期の確認が必要な区域 |
(参考:国土交通省「土砂災害防止法の概要」)
混同しやすい2つの用語との違い|急傾斜地崩壊危険区域・土砂災害危険箇所
土砂災害について調べていると、似た名前の用語が次々と出てきます。急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害危険箇所といった言葉です。これらは根拠となる法律も目的も異なりますが、名前が似ているために混同されがちです。なかには現在使われなくなった用語もあります。不動産会社の説明や行政の資料を正しく読み解くために、ここで整理しておきましょう。
1.急傾斜地崩壊危険区域は「崩れる斜面そのもの」を指す
まず区別したいのが、急傾斜地崩壊危険区域です。
この区域は、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律を根拠としており、土砂災害防止法とは別の制度にあたります。指定するのはどちらも都道府県知事ですが、目的が違います。
土砂災害警戒区域が「土砂が届く範囲」を示すのに対し、急傾斜地崩壊危険区域は「崩れる原因となる斜面そのもの」を対象としています。崩壊を防ぐ工事を行い、区域内での行為を制限するための区域です。
そのため区域内では、掘削、盛土、水を放流する行為、樹木の伐採などに都道府県知事の許可が必要となります。
なお、両方の区域が重なって指定されている場所もあります。名前が違うから別の場所を指しているとは限らない、という点も覚えておいてください。
2.土砂災害危険箇所は2024年4月から使われなくなった
次に注意したいのが、土砂災害危険箇所という用語です。
古い資料やインターネット上の記事では今も見かけますが、国土交通省の通知により、令和6年(2024年)4月以降は使用しないこととなりました。現在はこれに代わって、土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域の指定が進められています。
もともと土砂災害危険箇所は、法律にもとづく区域指定ではなく、地形図をもとに危険のおそれがある場所を把握したものでした。調査の精度も現在の区域指定とは異なります。
そのため、古い資料で危険箇所とされていた場所と、現在の警戒区域の範囲は一致しません。
調べものをしていてこの言葉に出会ったら、まず情報の作成時期を確認しましょう。判断の材料にするなら、現行の区域指定を見るのが確実です。
3.名前で見分ける早見表
ここまでの内容を一覧にまとめます。資料を見たときに自分で判別できるよう、手元に置いておくと便利です。
| 区域名 | 根拠となる法律 | 指定する主体 | 規制の有無 | 賃貸での扱い |
|---|---|---|---|---|
| 土砂災害警戒区域(イエロー) | 土砂災害防止法 | 都道府県知事 | なし | 重要事項説明の対象 |
| 土砂災害特別警戒区域(レッド) | 土砂災害防止法 | 都道府県知事 | あり(開発許可・構造規制など) | 重要事項説明の対象 |
| 急傾斜地崩壊危険区域 | 急傾斜地法 | 都道府県知事 | あり(掘削・伐採などの制限) | 重なる場合に説明を受けられる |
| 土砂災害危険箇所 | 法律にもとづく指定ではない | ― | なし | 2024年4月以降は使用されない |
区域の名前が分かれば、何を心配すべきかも絞り込めます。まずは物件の所在地がどの区域にあたるかを確認するところから始めましょう。
土砂災害警戒区域の調べ方と賃貸契約での扱い|3つのポイント
区域の意味が分かったら、次は自分の候補物件がどこに位置するかを確かめる番です。調べ方は難しくなく、住所が分かれば数分で確認できます。あわせて、賃貸契約の場面で区域がどう扱われるかも知っておきましょう。契約の手続きの中で、必ず説明される事項に含まれているからです。ここでは3つのポイントに分けて整理します。
1.調べ方|国のサイトと都道府県のマップを使い分ける
区域を調べる方法は、大きく2つあります。
ひとつは、国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」です。「重ねるハザードマップ」の機能を使えば、住所を入力するだけで土砂災害の区域を地図上に表示できます。洪水など他の災害と重ねて見られるのも利点でしょう。基本的な使い方は別記事で解説していますので、はじめて使う方はあわせてご覧ください。
もうひとつが、都道府県が公開している土砂災害警戒区域等のマップです。指定の主体は都道府県であるため、境界の詳細まで確認できます。
使い分けの目安は次のとおりです。
- 周辺一帯の傾向を知りたいとき:重ねるハザードマップ
- 候補物件が区域の内か外かを正確に知りたいとき:都道府県のマップ
境界線の近くに物件がある場合は、後者で確認しておくと確実です。
(参考:国土交通省「ハザードマップポータルサイト」)
2.賃貸でも重要事項説明の対象になる
調べた結果、区域に入っていたとしても、それを自分だけで抱える必要はありません。
宅地建物取引業者には、取引の対象となる物件が土砂災害警戒区域内にある場合、その旨を重要事項として説明する義務があります。この義務は売買だけでなく、賃貸の契約にも適用されます。
つまり区域に関する情報は、こちらから聞き出さなくても契約前に説明される事項です。聞きにくいことではありません。
ただし、重要事項説明が行われるのは申し込みの後という場合が多くあります。検討の段階で知っておきたいのであれば、内見や相談のときに「この物件は土砂災害警戒区域に入っていますか」と質問してしまいましょう。答えられない内容ではないため、遠慮は不要です。
(参考:神奈川県「用語の解説」)
3.指定されていても賃貸契約はできる
ここで、最も気になる点にお答えします。
土砂災害警戒区域に指定されている物件でも、賃貸契約を結ぶことはできます。区域指定は居住を禁じるものではなく、契約上の制限もありません。
では何を基準に判断すればよいのでしょうか。手がかりになるのは、次の2点です。
- 建物や周辺の構造物が、どのような状態にあるか
- 土砂災害の危険が高まったときに、安全に避難できるか
区域の内か外かという二択ではなく、この2つを確かめたうえで総合的に考えるという姿勢が現実的です。同じ区域内でも、斜面との距離や建物の位置によって状況は変わります。
具体的に何を見ればよいのかは、次の章で整理します。
区域内の賃貸物件で確認したい5つのポイント|擁壁・排水・避難経路
区域内の物件を検討するとき、判断の材料は現地にあります。専門的な調査が必要だと思われるかもしれませんが、内見のときに自分の目で確かめられることは少なくありません。同じ区域内であっても、敷地の状態や避難のしやすさには差があります。ここでは、斜面地の物件で特に見ておきたい5つのポイントを挙げます。すべて確認しても15分ほどで終わる内容です。
1.擁壁(ようへき)のひび割れ・膨らみ・傾き
最初に見たいのが、敷地を支えている擁壁の状態です。
擁壁は土を留めるための構造物であり、その健全さが斜面の安定に直結します。劣化のサインは外から見て分かるものが多く、専門知識がなくても気づける場合があります。
チェックしたいのは次の点です。
- 縦方向に走るひび割れがないか
- 一部が前に膨らんでいないか
- 全体が傾いていないか
- 石積みの場合、石がずれたり抜け落ちたりしていないか
- 継ぎ目に大きな段差が出ていないか
気になる箇所が見つかったら、写真を撮っておきましょう。その場で判断する必要はありません。不動産会社の担当者に写真を見せ、擁壁の施工時期や管理の状況を確認してもらうという進め方で十分です。
2.水抜き穴の詰まりと水の流れ
次に注目したいのが、水の通り道です。
土砂災害の多くは、大雨をきっかけに発生します。斜面に水がたまると土の重さが増し、崩れやすい状態になるためです。逆にいえば、水がうまく抜けていれば斜面は安定しやすくなります。
擁壁には、たまった水を逃がすための水抜き穴が設けられているのが一般的です。ここが落ち葉や土で詰まっていないかを見てください。
あわせて確認したいのが次の点です。
- 擁壁の表面に、水がしみ出た跡や白い筋がないか
- 斜面の上から雨水が流れ込む経路がないか
- 敷地内の側溝が詰まっていないか
雨上がりに内見できると、水の流れが分かりやすくなります。日程を選べるなら、雨の翌日を狙ってみるのもひとつの方法でしょう。
3.建物と斜面の位置関係
3つめは、物件が斜面に対してどこにあるかという点です。
同じ区域内でも、斜面の上にあるか下にあるかで注意すべきことが変わります。斜面の下にある建物は土砂が到達する側にあたり、斜面の上にある建物は足元の地盤が影響を受ける側にあたるためです。
斜面の下に位置する物件であれば、階数も判断材料になります。1階より2階以上のほうが、土砂が流れ込んだときの影響を受けにくいと考えられるからです。ただし階数だけで安全性が決まるわけではないため、他の項目とあわせて見てください。
区域のマップを開き、建物のどのあたりに区域の線がかかっているかも確認しましょう。建物全体が区域に入っている場合と、敷地の一部だけがかかっている場合では意味合いが異なります。
物件資料の配置図とマップを見比べると、位置関係を把握しやすくなります。
4.避難経路と避難場所までの道のり
4つめは、いざというときの動線です。
区域内で最も重要な備えは、危険が高まったときに安全な場所へ移動できることにあります。そのため、避難場所までの道のりを事前に歩いておく意味は大きいといえます。
斜面地では、次の点を確かめてください。
- 避難場所までの道が、崖の下や斜面沿いを通っていないか
- 急な坂や長い階段を通らずに行けるルートがあるか
- 街灯が少なく、夜間に歩きにくい区間がないか
- 雨のときに水が流れ込みやすい道になっていないか
遠回りでも安全な道があるなら、そちらを避難ルートとして覚えておきましょう。距離の短さより、通りやすさを優先する考え方が有効です。
5.避難情報の受け取り方
最後は、情報をどう受け取るかという準備です。
土砂災害の危険が高まると、気象庁と都道府県から土砂災害警戒情報が発表されます。市町村から避難指示が出されることもあり、これは5段階の警戒レベルのうちレベル4にあたります。
情報が出た時点で動けるようにしておくことが、区域内での最大の備えです。そのためには、情報が自動的に届く仕組みを作っておく必要があります。
準備としては次の方法があります。
- 自治体の防災メールに登録する
- 防災情報を通知してくれるアプリを入れる
- 気象庁のキキクル(危険度分布)をブックマークしておく
どれもひとつ設定すれば終わる作業です。入居が決まったら、荷ほどきの合間にでも済ませておきましょう。
(参考:内閣府「避難情報に関するガイドライン」)
(参考:気象庁「キキクル(危険度分布)」)
区域の意味まで説明できる不動産会社に相談する
ここまで、自分で確認できることを中心に見てきました。とはいえ、擁壁の状態や過去の経緯まで一人で判断するのは簡単ではありません。地図の線だけでは分からない部分もあります。ここでは、自力の確認では届きにくい領域と、不動産会社に相談することで補える範囲を整理します。
1.区域図の線だけでは個別の物件は判断できない
区域のマップは、判断の出発点としては優れていますが、それだけで結論を出せるものではありません。
マップが示しているのは、地形の条件をもとに引かれた境界線です。個々の建物がどれだけ安全かを評価したものではないからです。
同じ区域内であっても、斜面までの距離、擁壁の構造や施工時期、建物の向きによって状況は異なります。線の内側にあるという一点だけで候補から外すと、条件の良い物件を見落とすことにもなりかねます。
反対に、線の外側だから何もしなくてよいということにもなりません。境界のすぐ外にある物件では、区域内とほとんど変わらない環境にある場合もあります。
線を見たうえで、その物件固有の条件を確かめる。この二段構えが必要になります。
2.契約前に不動産会社へ聞けること
個別の事情については、不動産会社が情報を持っている場合があります。
物件の管理や過去の取引を通じて、資料には表れない経緯を把握していることがあるためです。
たとえば次のような質問が考えられます。
- 「この物件は土砂災害警戒区域に入っていますか。特別警戒区域ではありませんか」
- 「敷地の擁壁は、いつ頃つくられたものですか」
- 「擁壁の点検や補修が行われた記録はありますか」
- 「周辺で土砂の崩落や斜面の工事があった記録はありますか」
- 「大雨のとき、敷地内で水がたまりやすい場所はありますか」
なお、区域内である旨は重要事項説明の対象です。契約前の確認事項を整理したい方は、別記事もあわせてご覧ください。
その場で答えが得られなくても構いません。調べて折り返す姿勢があるかどうかが、判断材料のひとつになります。
3.ゼン株式会社の相談窓口について
区域に入っていると知って、どう考えればよいか分からなくなった。その段階でご相談いただいて構いません。
ゼン株式会社では、物件のご紹介だけでなく、契約前の段階で地域の安全性に関するご相談にも対応しています。区域指定がどういう意味を持つのか、その物件がどのような位置にあるのかを、地図を一緒に見ながら確認することが可能です。
当社は神奈川県宅地建物取引業協会に加盟しており、リスクマネジメントに関する体制も公式サイトで公開しています。判断に必要な情報を早い段階でお伝えすることを大切にしています。
区域内だからと候補から外すのでも、よく分からないまま契約するのでもない。その間にある選択肢として、お気軽にお問い合わせください。
まとめ:土砂災害警戒区域は意味を知ったうえで判断する区域
土砂災害警戒区域の線は、その場所の見た目ではなく、傾斜度30度・高さ5m以上といった数値の基準によって引かれています。さらに土砂が届く範囲まで含まれるため、敷地に斜面がなくても指定されることがあります。整備された住宅地が区域に入っているのは、こうした仕組みによるものです。
イエローゾーンとレッドゾーンは危険度の段階ではなく、目的の異なる別の指定です。前者は避難の準備を促すもの、後者は建物への規制を伴うものと整理しておきましょう。
どちらも賃貸契約を禁じる区域ではありません。擁壁の状態、水の流れ、避難経路という3点を確かめれば、自分で判断するための材料はそろいます。まずは候補物件の住所を区域のマップで確認してみてください。

