犬が散歩で歩かないのは病気や怪我?痛みのサインと対処法
散歩途中で急に立ち止まったり、座り込んだりする犬を見ると、「疲れたのかな」「散歩に飽きたのかな」と考えることがあるかもしれません。
しかし、普段は問題なく歩ける犬が突然動かなくなった場合、足や腰の痛み、肉球の怪我、体調不良などが隠れている可能性があります。
犬は言葉で不調を伝えられないため、歩き方や散歩中の行動の変化が、体の異変を見つける重要な手掛かりになります。
痛みや体調不良が疑われるときは、リードを引っ張って無理に歩かせてはいけません。怪我や病気が原因の場合、無理に動かすことで症状を悪化させるおそれがあるためです。
この記事では、犬が散歩中に歩かなくなる身体的な原因、自宅で確認したいポイント、動物病院を受診する目安、無理をさせない対処法について解説します。
犬が散歩で歩かないのは病気や怪我?考えられる4つの身体的理由とサイン
散歩中に犬が急に足を止める場合、単なる疲れや気分の問題ではなく、身体的な痛みや不調が原因になっている可能性があります。
ここでは、散歩中に歩かなくなる代表的な身体的原因を4つ紹介します。
膝蓋骨脱臼(パテラ)や関節炎による足の痛み・関節トラブル
犬の足の痛みを引き起こす原因の一つに、膝蓋骨脱臼、いわゆるパテラや関節炎などの関節トラブルがあります。
膝蓋骨脱臼は、膝のお皿にあたる膝蓋骨が本来の位置から外れる状態です。歩行時に痛みや違和感が生じると、片足を上げたり、数歩だけスキップするように歩いたりすることがあります。しばらくすると、何事もなかったように普通に歩き始める犬もいます。
次のような変化が見られる場合は、足や関節に問題がないか注意しましょう。
- 片足をかばって歩く
- 歩行中に片足を上げる
- 数歩だけスキップする
- 階段や段差を嫌がる
- 立ち上がるまでに時間がかかる
- 散歩中に何度も休む
- 足を触られるのを嫌がる
- 運動後に歩き方が悪くなる
ただし、これらの症状があるからといって、必ずしも膝蓋骨脱臼や関節炎とは限りません。足先の怪我、爪の異常、筋肉や靱帯の損傷などでも、似たような歩行異常が起こることがあります。
歩き方の異常を繰り返す場合や、痛みが疑われる場合は、動物病院で診察を受けましょう。自宅で無理に関節を曲げ伸ばししたり、足を動かして原因を探したりするのは避けてください。
椎間板ヘルニアなど、背骨や腰のトラブル
背骨や腰に痛みがある犬は、体を動かすことを避けるようになり、散歩中に歩かなくなることがあります。
代表的な病気が椎間板ヘルニアです。椎間板の組織が変性・突出し、脊髄や神経を圧迫することで、痛みや歩行異常が起こります。症状が進行すると、足に力が入りにくくなったり、歩けなくなったりする場合もあります。
次のような様子が見られる場合は、背中や腰の痛みに注意が必要です。
- 背中を丸めている
- 歩幅が小さくなる
- 抱き上げようとすると嫌がる
- 段差や階段を避ける
- 立ち上がることを嫌がる
- 後ろ足がふらつく
- 足を引きずる
- 後ろ足に力が入りにくい
- 歩くこと自体を嫌がる
ただし、背中を丸める、抱き上げられるのを嫌がるといった行動は、腹部の痛みでも見られることがあります。歩き方だけで原因を決めつけないことが大切です。
背中や腰を触って痛がる場合は、無理に患部を確認しようとしないでください。特に、突然歩けなくなった、後ろ足が動かしにくい、立ち上がれないといった症状がある場合は、早急に動物病院を受診する必要があります。
椎間板ヘルニアでは、症状の進行によって治療の緊急性が高まることもあります。歩行異常が急に現れた場合は、様子を見続けないようにしましょう。
(参考:岐阜大学動物病院「脊椎および脊髄の疾患」https://www.animalhospital.gifu-u.ac.jp/neurology/medical/spine.html)
(参考:アニコム愛甲石田どうぶつ病院「歩けなかったワンちゃんが歩けるように(椎間板ヘルニア)⁉」https://hospital.anicom-med.co.jp/aikouishida/disease/regenerative-medicine/20220624/1677/)
肉球の火傷・刺し傷や爪の異常による局所的な痛み
足や腰、関節に問題がなくても、肉球や爪のトラブルによって歩けなくなることがあります。
特に夏場は、熱くなったアスファルトやコンクリートによって、肉球を火傷する危険があります。気温だけでなく、日差し、路面の材質、照り返しなどによって地面の温度は大きく変化します。
犬は人間よりも地面に近い位置を歩くため、路面からの熱の影響を受けやすい点にも注意が必要です。環境省や自治体も、夏の日中の散歩には熱中症だけでなく肉球の火傷の危険があるとして、早朝や夜などの涼しい時間帯に散歩するよう呼びかけています。
肉球の火傷や足先の怪我では、次のようなサインが見られます。
- 特定の足を地面につけない
- 歩き始めてすぐに立ち止まる
- 足裏や肉球を頻繁に舐める
- 肉球が赤くなっている
- 肉球の皮膚がめくれている
- 肉球に腫れや水ぶくれがある
- 爪が割れている、折れている
- 爪や足先から出血している
- 足を引きずる
肉球の間に小石やガラス片などの異物が挟まっていたり、爪が折れていたりするケースもあります。
帰宅後は、犬が落ち着いているときに足裏や爪を目視で確認しましょう。ただし、深く刺さった異物や出血、皮膚の大きな損傷がある場合は、無理に取り除いたり、患部を強く触ったりせず、動物病院に相談してください。
また、暑い日に散歩へ出るときは、気温だけでなく路面の熱さも確認することが大切です。日陰のある道や土・芝生の上を選び、早朝や日没後など、路面温度が下がりやすい時間帯に散歩しましょう。
(参考:環境省「『防ごう!ペットの熱中症』ペットの熱中症予防に関するポスターの作成について」https://www.env.go.jp/press/press_05067.html)
(参考:東京都保健医療局「ペットの熱中症にご注意ください!」https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/aigo/doubutsu_oshirase/nettyuusyou)
(参考:千林動物病院「犬の散歩で気を付けたいアスファルト火傷」https://senbayashianimalhospital.jp/%E3%80%90%E7%8D%A3%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E7%9B%A3%E4%BF%AE%E3%80%91%E7%8A%AC%E3%81%AE%E6%95%A3%E6%AD%A9%E3%81%A7%E6%B0%97%E3%82%92%E4%BB%98%E3%81%91%E3%81%9F%E3%81%84%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A1/)
熱中症や心臓・呼吸器の病気による急な体調不良
犬が散歩中に座り込み、激しく息をしている場合は、「疲れたのだろう」と簡単に判断してはいけません。
犬はパンティングと呼ばれる口を開けた呼吸によって体温を調節します。しかし、暑さや湿度、運動量などによって体温が過度に上昇すると、熱中症を起こすことがあります。
熱中症が疑われるサインには、次のようなものがあります。
- 安静にしていても呼吸が激しい
- 大量によだれが出る
- ぐったりしている
- ふらつく
- 嘔吐や下痢がある
- 反応が鈍い
- 体に力が入らない
- 意識がぼんやりしている
- 立ち上がれない
- 意識を失う
熱中症は、暑い季節の屋外だけで起こるとは限りません。湿度の高い日や、風通しの悪い場所、冷房の効いていない室内や車内でも発症することがあります。
また、心臓や呼吸器の病気がある犬は、以前なら問題なく歩けていた距離でも、息切れしたり、途中で休んだりすることがあります。短い距離で疲れるようになった、呼吸が苦しそう、散歩後の回復に時間がかかるといった変化があれば、動物病院で相談しましょう。
激しい呼吸に加えて、ぐったりしている、ふらついている、意識がぼんやりしているといった症状がある場合は、緊急性が高い状態です。涼しい場所へ移動させ、動物病院に連絡して指示を受けてください。
(参考:一般社団法人福岡市獣医師会「家庭の獣医学|No.1 犬の熱中症」https://fukuoka-shiju.jp/medicine/medicine001/)
(参考:公益財団法人日本動物愛護協会「熱中症について」https://jspca.or.jp/necchusho/about/about06.html)
犬が散歩中に急に歩かなくなったときの3ステップチェック
犬が散歩中に急に歩かなくなったら、まず歩かせるのをやめて、落ち着いて状態を確認します。
ただし、強い痛みや呼吸困難、意識の異常がある場合は、自宅で原因を探すことよりも受診を優先してください。
ステップ1:歩き方や立ち上がり方を観察する
まずは、犬が歩かなくなる直前にどのような動きをしていたかを思い出します。
次のような変化がないか確認しましょう。
- 片足を上げている
- 足を引きずっている
- 歩幅が小さくなっている
- 背中を丸めている
- 立ち上がるのに時間がかかる
- 後ろ足がふらついている
- 歩き始めから息が荒い
- 途中から急に呼吸が激しくなった
どの足をかばっているのか、いつから歩かなくなったのか、直前に段差を上ったか、走ったかなども記録しておくと、診察時の参考になります。
安全な状況であれば、歩き方をスマートフォンで撮影しておくのも役立ちます。ただし、動画を撮るために痛がっている犬を歩かせたり、何度も立たせたりしてはいけません。
ステップ2:足先・肉球を目視で確認する
犬が落ち着いていて、触っても痛がらない場合に限り、足先や肉球を目視で確認します。
確認したいのは、次のような部分です。
- 肉球の傷や出血
- 肉球の赤み
- 皮膚のめくれ
- 小石や異物
- 爪の割れや折れ
- 足先の腫れ
- 肉球の間の異常
背中や関節についても、犬が嫌がらない範囲で様子を確認することはできます。しかし、痛みのある場所を押したり、関節を曲げ伸ばししたりする必要はありません。
犬が体をこわばらせる、逃げようとする、唸る、鳴く、歯を見せるといった反応を示した場合は、すぐに触るのをやめてください。
ステップ3:呼吸・意識など全身状態を確認する
足先に目立った怪我がなくても、全身状態に異常がある場合は注意が必要です。
次のような症状がないか確認しましょう。
- 安静にしていても呼吸が激しい
- 舌や歯ぐきの色が普段と違う
- 歯ぐきが青紫色や白っぽい
- ふらついている
- ぐったりしている
- 呼びかけへの反応が鈍い
- 嘔吐や下痢がある
- 体に力が入らない
- 立ち上がれない
- 苦しそうに呼吸している
特に、歯ぐきが青紫色や白っぽい、意識がもうろうとしている、呼吸が苦しそうといった症状は、緊急性が高いサインです。
見た目に大きな怪我がなくても、全身状態に異変がある場合は、速やかに動物病院を受診してください。
(参考:茶屋ヶ坂動物病院「犬が散歩中に歩かない理由は?歩かなくなった場合の対処法やNG行動について解説」https://www.chayagasaka-ah.jp/media/dog/life/487/)
犬が散歩中に座り込んだときの対処法と受診の目安
犬が座り込んだときは、まずリードを引っ張らず、その場で休ませます。
そのうえで、歩き方、足先、呼吸、意識などを確認し、必要に応じて安全な場所へ移動させましょう。
早急な受診が必要な症状
次のような症状がある場合は、早急に動物病院へ連絡してください。
- 急に立てなくなった
- 急に歩けなくなった
- 足腰に力が入らない
- 後ろ足を引きずっている
- 強い痛みがあり、触ると激しく鳴く
- 激しい呼吸が続いている
- ふらついている
- 意識がぼんやりしている
- 嘔吐や下痢に加えてぐったりしている
- 大きな怪我や出血がある
- 暑い環境で運動したあと、急激に状態が悪化した
特に、突然歩けなくなった場合、呼吸に異常がある場合、意識に変化がある場合は、緊急性が高いと考えられます。
受診前に動物病院へ電話し、症状を伝えたうえで、どのように移動させればよいか確認しましょう。
無理に引っ張らない!痛みを悪化させない対処法
犬が歩かなくなったときは、次の点に注意してください。
- リードを引っ張らず、その場で休ませる
- 暑い場合は日陰や涼しい場所へ移動する
- 車道や人通りの多い場所から離れ、安全を確保する
- 痛みや体調不良が疑われる場合は動物病院へ連絡する
- 自力で歩けない場合は、無理に歩かせず移動させる
抱き上げる場合は、胸の下とお尻を支え、体が大きく曲がらないようにします。腰や背中の痛みが疑われる場合は、できるだけ体を水平に近い状態に保って移動させましょう。
大型犬や激しい痛みがある犬を無理に抱き上げると、犬にも飼い主にも危険があります。キャリーやカートを利用したり、周囲の人や動物病院に助けを求めたりしてください。
また、犬が痛がっていても、人間用の鎮痛薬を自己判断で与えてはいけません。犬にとって有害になる薬もあるため、薬の使用については必ず獣医師に相談しましょう。
恐怖や環境変化が原因の場合はこちら
犬が散歩中に歩かなくなる原因は、病気や怪我だけではありません。
次のような出来事が、犬の不安や恐怖につながることもあります。
- 工事音が聞こえた
- 車やバイクの大きな音がした
- 雷や花火の音がした
- 初めて通る道だった
- 散歩コースの環境が変わった
- 他の犬や人に出会った
- 路面や周囲の景色に慣れていない
ただし、おやつを見せても歩かないからといって、必ず痛みがあるとは限りません。反対に、おやつにつられて歩いたからといって、身体的な異常がないとも断定できません。
散歩中に歩かなくなった場合は、直前に何があったのか、時間帯や気温はどうだったか、歩き方に変化があったかなどを総合的に観察することが大切です。
身体的な異常が見られず、音や環境への恐怖が原因と考えられる場合は、恐怖や環境変化によって犬が歩かなくなるケースを扱った関連記事も参考にしてください。
足腰の衰えや関節の痛みに配慮した住まい選び3つのポイント
犬の足腰を守るためには、散歩の仕方だけでなく、普段暮らしている住環境にも目を向ける必要があります。
特に、シニア犬や関節に不安がある犬は、床の滑りやすさや段差によって足腰に負担がかかることがあります。
ポイント1:段差が少なく、滑りにくい床
フローリングなどの滑りやすい床では、犬が足を踏ん張りにくく、転倒したり、足腰に負担がかかったりすることがあります。
住まいを選ぶときは、次の点を確認しましょう。
- 床が滑りにくいか
- 室内に大きな段差がないか
- 階段の上り下りが多くないか
- 滑り止めマットを敷けるか
- 犬が落ち着いて休める場所があるか
- トイレや水飲み場まで安全に移動できるか
すでに住んでいる家でも、犬がよく歩く場所にマットを敷いたり、段差にスロープを設置したりすることで、移動時の負担を軽減できる場合があります。
ただし、マットを敷けば関節疾患や怪我を予防できると断定することはできません。歩行異常や痛みがある場合は、住環境の改善だけで済ませず、動物病院で診察を受けることが大切です。
ポイント2:坂道・段差が少なく散歩しやすい周辺
住まいの周辺環境も、犬との暮らしやすさに大きく関わります。
急な坂道や階段が多い地域では、足腰に不安のある犬に負担がかかることがあります。住まいを選ぶ際は、次のような点を確認しておきましょう。
- 平坦な歩道があるか
- 階段や急な坂道を避けられるか
- 近くに公園や緑地があるか
- 途中で休憩できる場所があるか
- 日陰のある散歩コースを選べるか
- 夏に路面が熱くなりにくい道があるか
- 動物病院へ移動しやすいか
犬の年齢や体調、季節によって、散歩コースを使い分けられる環境が理想です。
特に夏場は、日陰の有無だけでなく、アスファルトやマンホールなどの路面温度にも注意しましょう。暑い時間帯の散歩を避け、必要に応じて散歩時間を短くしたり、室内で運動したりする工夫も必要です。
ポイント3:愛犬との暮らしを支えるゼン(ZEN)の賃貸仲介・生活サポート
犬と暮らせる住まいを探すときは、単に「ペット可」と書かれているかだけでなく、愛犬が毎日無理なく暮らせる環境かどうかを考えることが重要です。
例えば、次のような点も住まい選びの判断材料になります。
- 足腰が弱ったときにも移動しやすい間取りか
- 室内に段差が少ないか
- 散歩しやすい道が近くにあるか
- 動物病院へ通いやすいか
- 年齢や体調の変化に対応しやすいか
- 周囲の騒音や交通量が犬の負担にならないか
ゼン(ZEN)では、ペットと暮らせる住まい探しをサポートしています。愛犬との暮らしを長く続けるためにも、現在の生活だけでなく、犬が年齢を重ねたときのことまで考えて住まいを選ぶことが大切です。
(参考:ゼン株式会社「物件情報・お問い合わせ」https://zen-estate.co.jp/)
まとめ
犬が散歩中に歩かなくなるのは、疲れや気分の問題だけとは限りません。
足腰の痛み、膝蓋骨脱臼や関節トラブル、椎間板ヘルニア、肉球の火傷や爪の異常、熱中症、心臓・呼吸器の病気などが原因になっている可能性もあります。
犬が急に歩かなくなったときは、リードを引っ張って無理に歩かせず、まずは安全な場所で休ませましょう。そのうえで、歩き方、足先や肉球、呼吸、意識などを落ち着いて確認します。
突然歩けなくなった、強い痛みがある、呼吸が苦しそう、ふらついている、ぐったりしているといった場合は、早急に動物病院へ連絡してください。
また、犬の足腰を守るためには、散歩中の様子だけでなく、床の滑りやすさ、室内の段差、散歩コースの状態など、普段の生活環境を見直すことも重要です。
小さな歩き方の変化や散歩中の行動を見逃さず、その日の体調や気候に合わせて散歩と住環境を調整しましょう。

