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浸水想定区域とは?ハザードマップとの違いと色別に見る浸水深の目安

災害・防災

物件探しの途中でハザードマップを開いてはみたものの、青や黄色に塗り分けられた地図を前に手が止まってしまったことはないでしょうか。専門用語が並んでいて、自分の候補物件がどの色の上にあるのかも分からず、結局そのタブを閉じて、家賃と駅からの距離だけで候補を絞った経験をお持ちの方は、少なくないはずです。

本記事では、浸水想定区域とは何かを、洪水ハザードマップとの関係から解説します。想定最大規模と計画規模という2つの想定の違い、色分けが示す浸水深の意味、そして物件の住所で調べる手順までを順にたどります。地図が読めるようになると物件の見え方が変わりますので、ぜひ参考にしてください。

浸水想定区域とは?洪水ハザードマップとの3つの違い

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浸水想定区域と洪水ハザードマップは、日常会話ではほとんど同じ意味で使われています。ただし正確には、作る主体も、載っている情報も異なる別の資料です。この違いが分かると、どちらを見ればよいのかで迷わなくなります。

ここでは、作成者・記載内容・種類という3つの角度から、2つの資料の関係を見ていきます。

浸水想定区域は国と都道府県が指定する

浸水想定区域は、水防法にもとづいて国土交通大臣または都道府県知事が指定し、公表するものです。図面としては洪水浸水想定区域図と呼ばれ、浸水が想定される範囲と、浸水した場合に想定される水深、そして浸水継続時間が示されています。

つまり、この区域図が示しているのは「水がどこまで、どのくらいの深さで、どれだけの時間広がりうるか」という予測です。避難所の場所や避難の仕方は、この図には含まれていません。

洪水ハザードマップは市区町村が避難情報を足したもの

一方の洪水ハザードマップは、市区町村が作成する資料です。国や都道府県が示した浸水想定区域図をベースに、洪水予報の伝え方や避難場所といった、避難を円滑にするための情報を加えたものと考えてください。

日常の物件探しで手に取るのは、多くの場合このハザードマップのほうです。自治体の窓口やウェブサイトで配布されており、賃貸契約の際には重要事項説明でも物件の位置が示されます。

洪水・雨水出水・高潮の3種類がある

もう一つ押さえておきたいのが、浸水想定区域には種類があるという点です。水防法にもとづく区域には、河川の氾濫を想定した洪水、下水道などの排水が追いつかない場合を想定した雨水出水、そして海からの高潮があります。

このうち一般に知られているのは洪水のものですが、雨水出水による浸水は川から離れた市街地でも起こりえます。ハザードマップを開いたら、どの種類の図を見ているのかを先に確認しましょう。

(参考:国土交通省「洪水浸水想定区域図・洪水ハザードマップ」)

想定最大規模と計画規模|2つの想定を読み分ける

自治体のサイトを見ていると、同じ河川について色の濃さが違う2枚の地図が並んでいることがあります。これが想定最大規模と計画規模の違いです。片方だけを見て判断すると、リスクを過大にも過小にも受け取ってしまう可能性があります。

2つの地図は目的が別であり、どちらが正しいというものではありません。意味を知ったうえで使い分けてください。

計画規模と想定最大規模は発生の頻度が違う

計画規模とは、その河川の治水計画の基本となる降雨を想定したものです。たとえば東京都が管理する河川では、時間100mm、年超過確率にして1/100程度という外力が設定されています。1年のうちに発生する確率が100分の1程度、という意味合いです。

これに対して想定最大規模は、想定しうる最大の降雨を前提としています。年超過確率は1/1000以下とされ、発生の頻度としては極めて小さい事象という位置づけです。俗に1000年に一度と表現されるのはこのためです。

なぜ2つの地図が並んでいるのか

計画規模だけでは、想定を超える豪雨が起きたときに逃げ遅れる人が出てしまいます。近年の水害では、計画の前提を上回る雨が各地で観測されてきました。そこで、最悪の事態まで見ておくための地図として想定最大規模が加えられた、という経緯があります。

言い換えると、計画規模は治水施設が守ろうとしている範囲を示し、想定最大規模は避難を考えるための範囲を示しています。目的が違うので、数字の大小だけを比べても意味がありません。

賃貸の物件選びではどちらを基準にするか

物件を選ぶ場面では、まず想定最大規模の図で最悪の場合の深さをつかみ、次に計画規模の図で現実的に起こりやすい範囲を確認する、という順番がおすすめです。両方を見ておくと、どこまで備えておくべきかを判断しやすくなります。

想定最大規模で色がついているからといって、その物件を候補から外す必要があるとは限りません。何メートルの想定なのか、どのくらいの頻度の話なのかまで見て、はじめて判断ができます。

(参考:東京都建設局河川部「洪水浸水想定区域図―Q&A―」)

色別に見る浸水深の目安|0.5m未満から5m以上まで

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ここからが、多くの方がつまずく色分けの読み方です。地図の色は、その地点で想定される浸水の深さを段階で示しています。数値だけを見てもピンと来ないかもしれませんので、建物のどこまで水が来るのかに置き換えて考えてみましょう。

以下は、東京都建設局が示している浸水深の目安をもとにまとめたものです。

浸水深の目安 建物のどこまで水が来るか 暮らしへの影響
0.5m未満 地面から1階の床の高さまで 床下浸水。大人の膝あたりまで水につかる
0.5m〜3.0m未満 1階の床上から2階の床下まで 1階が使えなくなる
3.0m〜5.0m未満 2階の床上付近まで 2階の家財も水につかる
5.0m以上 2階が水没する高さ 上階へ上がるか、外へ避難するしかない

0.5m未満でも暮らしは止まる

0.5mという数字は、家屋の1階床高に相当します。地面から測ると大人の膝あたりまで水が来ている状態で、ここを超えると床上浸水です。膝までなら歩けそうに思えますが、氾濫した水には流れがあるため、国土交通省の資料では、この高さになるとほとんどの人が避難できなくなったと報告されています。

さらに、水が引いたあとの泥や衛生面の問題も残ります。深さが浅いから軽く済む、とは考えないほうが無難です。

3.0mを超えると2階も安全とは言えない

3.0mは、おおよそ家屋の2階床下高に相当します。この深さになると、1階から2階へ上がるだけでは水を避けきれない場面が出てきます。5.0m程度になると2階が水没する想定であり、建物内にとどまる選択そのものが取りにくくなるでしょう。

自分の候補物件がどの段階の色に入っているかによって、部屋の階数をどう選ぶか、いざというときにどこへ向かうかという判断が変わってきます。

深さが同じでも状況は同じにならない

同じ色に塗られていても、周辺の状況によって現実の影響は変わります。近くに幹線道路の高架があるのか、上階へ上がれる建物なのか、周囲より一段低いくぼ地なのか。こうした条件が重なると、地図から受ける印象と、実際にその場所で起こることとのあいだにずれが生じます。

色は判断の入り口であって、結論ではありません。気になる色がついていたら、その地点の周りがどうなっているかまであわせて見ておきましょう。

(参考:国土交通省「川の防災情報|浸水深と避難行動について」)

浸水深だけでは分からない2つの情報

ハザードマップには、浸水の深さ以外にも見ておきたい情報が載っています。代表的なのが浸水継続時間と、家屋倒壊等氾濫想定区域の2つです。どちらも深さの色とは別の指標で、暮らしへの影響を大きく左右します。

見落とされやすい情報ですが、賃貸の物件選びではむしろこちらが参考になる場面もあります。

浸水継続時間は0.5m以上が続く時間の目安

浸水継続時間とは、避難が困難になる一定の浸水深を上回る時間の目安です。東京都建設局の資料では、浸水深が0.5m以上継続する時間として算定されていると説明されています。

同じ深さでも、半日で水が引く地域と、数日にわたって水が残る地域とでは、その後の生活がまったく違います。水が引かないあいだは自宅に戻れず、電気や水道も止まったままになりかねません。深さの色を見たら、あわせてこの時間も確認しておきましょう。

家屋倒壊等氾濫想定区域は建物そのものが壊れる想定

もう一つが、家屋倒壊等氾濫想定区域です。これは堤防が決壊したときに、激しい氾濫流や河岸の侵食が起きると想定される区域を示したもので、2015年の関東・東北豪雨を受けて公表されるようになりました。

この区域では、水につかるだけでなく、建物自体が流されたり傾いたりする可能性が想定されています。上階へ避難すればしのげるという前提が成り立ちにくい場所であり、深さの色とは別に確認しておきたい情報です。

区域の外なら安全とは限らない

最後に、浸水想定区域の外だから水が来ないとは限らない点も押さえておきましょう。区域図はあくまで特定の河川について、一定の条件で計算した結果です。対象になっていない小さな水路や、下水道の排水が追いつかない現象までは反映されていません。

色がついていないことは、リスクがゼロという意味ではないと考えておくのが安全です。

(参考:国土交通省「水害ハザードマップ作成の手引き」)

物件の住所で浸水想定区域を調べる4つの手順

ここまでの内容を、実際の物件で確かめる手順に落とし込みます。むずかしい操作は必要なく、住所さえ分かれば確認できます。使う資料は、国が用意した横断的な地図と、市区町村が配布する地図の2つです。

順番としては、広く見てから細かく見るのが効率的でしょう。まず全国共通の地図で候補地の状況をつかみ、次に自治体の資料で最新の内容を照合します。気になる物件が出てきたら、内見の前にこの流れをたどってみてください。

1. 重ねるハザードマップで住所を入力する

国土交通省の重ねるハザードマップでは、住所を入力してその地点の災害リスク情報を表示できます。洪水、土砂災害、道路防災情報などを重ねて確認できるため、まず全体像をつかむ用途に向いています。

表示したら、候補物件の地点にどの色がついているか、どの種類の浸水想定なのかを順に確かめてください。

2. 自治体配布のハザードマップで最新版を照合する

次に、その物件がある市区町村のハザードマップを見ます。自治体の資料には避難場所や避難経路が載っており、より実務的な内容が加わります。更新の時期は自治体ごとに異なるため、いつ時点の資料かも見ておきましょう。

  • 対象の河川名と、洪水か雨水出水かの種類
  • 想定最大規模か計画規模か
  • 浸水深のランクと浸水継続時間
  • 家屋倒壊等氾濫想定区域に含まれていないか

3. 賃貸契約では重要事項説明でも示される

賃貸借契約の前に行われる重要事項説明では、水防法にもとづく水害ハザードマップにおける物件の所在地が説明されます。ただし、契約直前に初めて資料を見ても、比較検討の材料にはなりません。自分で事前に確認しておくことに意味があります。

4. 読み解きに迷ったら仲介会社に聞く

地図の操作自体は簡単でも、複数の図を突き合わせて物件ごとに意味づけする作業は手間がかかります。仕事や家事と並行して何件も調べるとなればなおさらです。

ゼンは、横浜市で不動産賃貸事業を営む会社です。神奈川県宅地建物取引業協会に加盟し、物件のご提案から賃貸契約、ご入居までをサポートしています。この色は実際のところ何を意味するのかといった疑問があれば、物件を絞り込む前の段階からお気軽にお尋ねください。

(参考:国土交通省「ハザードマップポータルサイト」)

【まとめ】浸水想定区域は色・時間・区域外まで見て判断する

浸水想定区域は水防法にもとづいて国や都道府県が指定するもので、市区町村がそれに避難情報を加えたものが洪水ハザードマップでした。想定最大規模は年超過確率1/1000以下、計画規模は1/100程度と、2つの地図は目的が異なります。色分けは0.5m未満から5m以上まで段階で示され、0.5mは1階の床高、3.0mは2階の床下高、5.0mは2階が水没する高さの目安です。

そのうえで、浸水継続時間と家屋倒壊等氾濫想定区域という2つの情報、そして区域の外でも浸水が起こりうるという前提まで押さえておくと、地図から読み取れることが増えます。色だけを見て決めず、その地点の周辺の条件まで含めて考えてみてください。

ゼンは、こだわりの条件から住まいを探すお客様と向き合ってきた賃貸仲介会社です。候補物件の地図を前に判断がつかないというご相談にも、物件を絞り込む段階からお付き合いします。ハザードマップを開いたまま手が止まっている方は、ぜひ一度ゼンにご相談ください。

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