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水害に弱い地名の漢字とは?由来から土地の災害履歴を調べる方法を解説

災害・防災

候補エリアのハザードマップを開き、色がついていないことは確認できた。それでも、どこか腑に落ちないという方は少なくないはずです。なぜここは警戒区域で、隣の一帯はそうではないのか。行政が示す現在の資料だけでは、その理由までは見えてきません。

そこで手がかりになるのが、土地に残された過去の情報です。本記事では、水害に由来するとされる地名の漢字を国土交通省の資料から拾い、住居表示で消えた旧地名の調べ方、古地図や地形分類図で土地の履歴をたどる手順を解説します。地名を入口として使うための注意点も添えますので、ぜひ参考にしてください。

水害に由来するとされる地名の漢字とは?文字で見る3つの分類

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国土交通省は、地名が土地の履歴を伝えている場合があることを資料の中で紹介しています。ただし、そこで示されているのは「〜の可能性がある」という言い方であって、危険地帯の一覧ではありません。この前提を踏まえたうえで、どのような文字が挙げられているのかを見ていきましょう。

分類は、水そのものを表す文字、水の流れにちなむ文字、そして地名以外に残る痕跡という3つに分けて見ていきます。

水そのものを表す文字

国土交通省の資料では、フカ・フケ(深)やサワ(沢)といった文字が挙げられています。「深」の字が含まれていれば周囲より土地が低い可能性があり、「沢」の字であれば水のたまりやすい土地だった可能性がある、という説明です。

同じ系統の文字として、窪や谷、池なども、低い土地や水がたまる場所を指す言葉として使われてきました。いずれも、かつての地形を言葉として残したものと考えられています。

水の流れや生き物にちなむ文字

資料ではほかに、カワチ(川内)、ナダ(灘)、ウシ(牛)、リュウ(竜)といった読みも挙げられています。川に囲まれた土地、波の荒い海辺、そして水の勢いを竜や蛇になぞらえた表現などが、地名として残った例です。

蛇の字がつく地名が水害と結びつけて語られるのも、同じ発想によるものといえます。うねる水の流れを生き物の姿に重ねた表現が、地名として定着したという説明です。

神社仏閣の立地にも土地の履歴が残っている

地名以外にも手がかりはあります。国土交通省の資料では、先祖を祭る神社や仏閣は水害を受けにくい場所に建てられていることが多いと紹介されています。

代々守り続けたい建物を、繰り返し水につかる場所には建てなかったのだろう、という見方です。そうした判断の積み重ねが、いまの立地として残っていることになります。候補エリアを歩くとき、古い社寺が周囲より高い場所にあるかどうかを見ておくと、地形の起伏が体感しやすくなります。

文字があること自体は危険の証明ではない

ここまでの内容は、あくまで可能性の話です。その文字がついているから水害に遭いやすい、という因果関係を示すものではありません。同じ字を使っていても由来がまったく違う地名は数多くあります。

地名は、調べるきっかけを与えてくれる材料にすぎません。ここから先の手順で、実際に確かめていきましょう。

(参考:国土交通省「水害対策を考える 4-1-5 地名は水害の履歴書」)

地名が変わって由来が消えているケースと旧地名的の調べ方

手がかりとしての地名には、もう一つ厄介な点があります。現在の住所に使われている町名が、必ずしも昔からの地名とは限らないことです。調べたい土地の本来の呼び名は、別のところに残っている場合があります。

ここでは、地名が変わった背景と、もとの名前をたどる方法を見ていきます。

住居表示の実施で町名がまとめられた

多くの市区町村では、住所を分かりやすくするために住居表示という制度が導入されてきました。その過程で、細かく分かれていた町名が統合されたり、新しい名前に置き換えられたりしています。

結果として、かつての呼び名が現在の住所からは読み取れなくなりました。候補地の町名に水を思わせる文字がないからといって、昔もそうだったとは限らないわけです。

小字には細かい単位の地名が残っている

一方で、古い地名が完全に消えたわけでもありません。小字と呼ばれる細かい単位の地名は、登記の記録などに残っていることがあります。町名よりもずっと狭い範囲を指すため、土地の性質を言い当てている場合も少なくありません。

現在の住所が新しい名前でも、その土地の小字までたどれば、別の呼び名が出てくることがあります。

旧地名を調べる3つの窓口

旧地名を調べたいときは、次のような窓口が使えます。いずれも難しい手続きは必要ありません。

  • 地域の図書館や郷土資料館の郷土資料コーナー
  • 自治体が公開している住居表示の新旧対照表
  • 法務局に保管されている旧土地台帳

図書館の郷土資料は、地名の由来について書かれた文献が見つかりやすい場所です。自治体の新旧対照表は、いつどの町名がどう変わったかを一覧で確認できます。賃貸物件を検討する段階なら、まずは図書館と自治体のサイトから始めるのが手軽でしょう。

古地図・地形分類図・旧河道で土地の履歴をたどる4つの手順

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地名から見当がついたら、次は地図で裏を取る作業に入ります。ここが、地名の話を実用的な判断につなげるいちばん大事な部分です。使う資料は公的機関が無料で公開しているものばかりなので、自宅からでも進められます。

手順は、地形分類図、空中写真、古地図、ハザードマップの順に4段階で見ていきます。

1. 地形分類図で自然堤防・後背低地・旧河道を見る

最初に確認したいのが、国土地理院が公開している地形分類です。低地の中にも性質の違いがあり、区分ごとに起こりやすい現象が示されています。

区分 土地の成り立ち 土地の性質と注意点
自然堤防 洪水時に砂などが堆積してできた微高地 低地の中では相対的に高い
後背低地 川の堆積が届きにくい沼沢性の低湿地 液状化、洪水・内水氾濫
旧河道 過去の川の流路の跡 液状化、洪水・内水氾濫

地名から水を連想させる土地が、実際に旧河道や後背低地に重なっていれば、その見当に裏づけが得られたことになります。逆に自然堤防の上であれば、同じ低地でも条件は変わってくるでしょう。

2. 過去の空中写真で造成前の姿を確かめる

地理院地図では、戦後まもない時期からの空中写真を見られます。現在は住宅地になっている場所が、当時は水田だったのか、池だったのか、川が流れていたのかを目で確かめられる資料です。

造成によって地形が変わっている土地では、地図の等高線だけでは分からない情報が出てきます。地名と写真が一致したときは、かなり確かな手がかりになるでしょう。

3. 古地図と現在の地図を重ねる

さらに古い時代をたどるなら、明治期の地図が使えます。図書館や国土地理院の公開資料で閲覧でき、現在の地図と重ねると、川の位置がどう変わってきたかが見えてきます。

このとき注目したいのが、現在の川から離れた場所に残る細長い低地です。旧河道である場合が多く、周囲と地盤の性質が異なることがあります。

4. 現在のハザードマップと突き合わせる

最後に、ここまでに分かったことを現在のハザードマップと照らし合わせます。過去の情報は、あくまで現在の資料を補強したり、疑問の理由を説明したりするためのものです。

浸水想定区域の色と、旧河道や後背低地の分布が重なっていれば、なぜそこに色がついているのかが分かります。逆に重ならない場合は、治水対策によって条件が変わっている可能性を考えることになります。

(参考:国土地理院「地形分類(ベクトルタイル)」)

地名だけで判断しないための3つの注意点

ここまで地名を手がかりとして扱ってきましたが、使い方を誤ると判断を間違えるもとになりかねません。とくに、特定の文字がつく地域を一律に候補から外すという使い方は避けたいところです。地名はその土地が歩んできた履歴の断片であって、現在の危険度を数値で示すものではないからです。

また、地名を根拠に特定の地域を語ことは、そこで暮らしている人にとって気持ちの良い話ではありません。手がかりとして自分の判断に使うにとどめ、評価の言葉として外に向けないという姿勢も大切でしょう。注意しておきたい点を3つ挙げます。

地名の由来には諸説がある

一つの地名に対して、複数の説が並び立っていることはめずらしくありません。水に関係する漢字が使われていても、別の意味から来ていたり、後世の当て字だったりする場合があります。

文献によって説明が食い違うことも普通に起こります。一つの記述を見ただけで結論を出さないでください。

縁起の良い字に置き換えられた地名もある

地名の漢字は、時代とともに書き換えられてきました。読みは同じまま、より良い意味の字が当てられた例も各地にあります。この場合、現在の表記からは元の意味が読み取れません。

つまり、水を思わせる字がないことは、水と無縁だったことの証明にはなりません。字がある場合とない場合の両方で、地名は決め手にならないわけです。

治水対策が進んだ現在の条件とは異なる

地名が生まれた時代と現在とでは、河川の状況が大きく変わっています。堤防やダム、調節池、下水道といった施設が整備され、同じ雨でも結果が違ってきました。

過去に水につかった土地が、現在も同じ頻度で浸水するとは限りません。地名はその土地が歩んできた履歴であって、今日の予測値ではないという区別を持っておきましょう。

過去の履歴と現在の情報をつないで物件を見る

地名も古地図も、それ単体では物件選びの判断材料になりません。現在の公的資料と組み合わせてはじめて、意味のある情報になります。最後に、つなぎ方の考え方を見ていきましょう。

賃貸の場合は、土地の条件だけでなく建物の条件も選べる点が強みになります。

地名で見当をつけ、公的資料で確かめる

進め方としては、地名から見当をつけ、地形分類図や空中写真で確かめ、ハザードマップで現在の想定を押さえる、という順番が分かりやすいでしょう。この流れなら、地名の情報に引きずられすぎずに済みます。

見当が外れることもありますが、外れたと分かること自体に意味があるでしょう。

賃貸では建物側の条件もあわせて見る

土地の履歴で気になる点が出てきても、賃貸なら建物の条件で調整できる部分があります。階数を上げる、電気設備の位置を確認する、上階へ上がれる共用階段のある建物を選ぶ、といった選択肢です。

土地と建物はセットで見るもの、と捉えておくと、候補を必要以上に狭めずに済みます。

過去と現在をつないで説明できる不動産会社を使う

とはいえ、地名を調べ、古地図を開き、地形分類図と突き合わせ、最後にハザードマップまで確認する作業を、候補物件ごとに行うのは大変です。情報がばらばらの場所にあるため、一つの話としてつながりにくいという難しさもあります。

ゼンは、横浜市で不動産賃貸事業を営む会社です。神奈川県宅地建物取引業協会に加盟し、物件のご提案から賃貸契約、ご入居までをサポートしています。なぜここが注意を要するのか、あるいはなぜ比較的条件が良いのかといった疑問があれば、物件を絞り込む前の段階からお気軽にお尋ねください。

(参考:国土交通省「ハザードマップポータルサイト」)

【まとめ】地名は土地の履歴を調べる入口として使う

国土交通省の資料では、深や沢、川内、灘、牛、竜といった文字が、土地の成り立ちを伝えている可能性があると紹介されています。神社仏閣が水害を受けにくい場所に建てられていることが多い点も、同じ性質の手がかりです。ただし、これらは可能性の話であり、現在の災害リスクを直接示すものではありません。

住居表示で町名が変わっていることもあるため、小字や旧土地台帳、図書館の郷土資料から旧地名をたどる手間が必要になります。そのうえで、地形分類図で自然堤防や後背低地、旧河道を確認し、空中写真と古地図で過去の姿を見て、最後に現在のハザードマップと突き合わせる。この順番なら、地名を入口として使いながら判断を誤らずに済みます。

ゼンは、こだわりの条件から住まいを探すお客様と向き合ってきた賃貸仲介会社です。土地の履歴という過去の情報と、ハザードマップという現在の情報の両方が気になるというご相談にも、物件を絞り込む段階からお付き合いします。行政の資料だけでは納得しきれないという方は、ぜひ一度ゼンにご相談ください。

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