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重要事項説明は賃貸契約でいつ受ける?ハザードマップの説明義務と注意点

災害・防災

「契約したいと伝えた後になって、ハザードマップと重要事項説明書を渡された」。そんな体験談を目にして、自分も同じ目に遭うのではないかと不安になっていないでしょうか。申し込みを済ませた後に気になる情報が出てきても、もう引き返せない気がしてしまいます。

その不安には理由があります。重要事項説明を行う時期は、法律で「契約が成立するまでの間」とだけ定められており、何日前までという決まりがないためです。結果として、実務では契約当日になることも少なくありません。

ただし、前倒しで受け取ることを禁じる決まりもありません。この記事では、説明を受けるタイミングと内容を整理したうえで、契約前に書面をもらう頼み方と、説明後にとれる対応までをまとめました。

重要事項説明は賃貸契約でいつ受ける?タイミングと契約書との違い

重要事項説明という言葉は知っていても、いつ、誰から、何のために受けるものなのかまで把握している方は多くありません。まずは制度の位置づけを確認しておきましょう。タイミングの決まり方を知れば、「後から渡された」という感覚がどこから生まれるのかも見えてきます。あわせて、混同されやすい賃貸借契約書との違いも整理します。

1.法律上は「契約が成立するまでの間」と定められている

重要事項説明は、宅地建物取引業法第35条にもとづく手続きです。宅地建物取引業者は、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士に書面を交付して説明させなければならないと定められています。

目的は、借りる人が知らないまま不利な契約を結んでしまう事態を防ぐことにあります。つまり、借りる側を守るための制度です。

ここで押さえておきたいのが、時期の定め方でしょう。条文にあるのは「契約が成立するまでの間」という表現だけで、契約の何日前までといった期限は示されていません。

そのため、説明が契約の直前になっても法律違反にはならないのです。逆にいえば、もっと早い時期に説明を受けることも制度上は可能だといえます。

2.実務では申し込みの後、契約当日になりやすい理由

では、なぜ説明が後ろ倒しになりやすいのでしょうか。背景には、部屋探しの手続きの流れがあります。

重要事項説明書は、その物件と契約条件に合わせて作成される書類です。賃料や契約期間、特約といった条件は、入居審査を経て貸主の承諾が出た段階で固まります。条件が決まる前に書面を完成させるのは難しい、という事情があるわけです。

さらに、説明には宅地建物取引士が立ち会う必要があります。担当者の日程を押さえる都合から、契約手続きとまとめて行われることも多くなります。

つまり、説明が遅いのは必ずしも隠す意図があるからではありません。手続きの順序上そうなりやすいという面があることは、知っておくとよいでしょう。

3.「後から渡された」と感じるのはなぜか

とはいえ、読者が抱く不安が的外れというわけではありません。

人は、いったん決断した後に不都合な情報を受け取ると、判断を覆しにくくなります。物件を決め、申し込みを済ませ、引っ越しの段取りまで考え始めた段階で「この地域は浸水想定区域です」と言われても、冷静に考え直すのは難しいはずです。

しかも賃貸契約では、審査に通るまでに日数がかかります。ここから探し直すのかという気持ちが、判断をさらに鈍らせます。

情報そのものは正しく提供されていても、受け取る順序によって選択の自由度は変わってしまうのです。だからこそ、自分から時期を前倒しする働きかけに意味があります。具体的な方法は第4章で解説します。

4.重要事項説明書と賃貸借契約書は役割が違う

契約の場面では2種類の書面を受け取りますが、この2つは役割が異なります。

項目 重要事項説明書(35条書面) 賃貸借契約書(37条書面)
主な目的 契約するかどうかを判断する材料を伝える 合意した契約内容を記録する
交付の時期 契約が成立するまでの間 契約の締結後、遅滞なく
宅地建物取引士の説明 必要(取引士証の提示もあり) 不要(交付のみ)
主な内容 物件の状況、災害リスク、法令上の制限、契約条件 賃料、期間、更新、解約、原状回復などの取り決め

重要事項説明書は「知らせるための書面」、賃貸借契約書は「約束するための書面」と考えると分かりやすくなります。

災害リスクに関する情報が載っているのは、原則として前者です。両方に目を通す必要があるという点を覚えておいてください。

5.部屋探しから契約までの流れで見る位置づけ

最後に、全体の流れの中で重要事項説明がどこに位置するかを確認しておきましょう。

段階 手続きの内容 この段階でできること
1.内見 現地や室内を確認する 周辺環境や設備を自分の目で見る
2.入居申し込み 申込書を提出する 書面の事前送付を依頼する
3.入居審査 貸主や保証会社が審査する 待ち時間に自分でハザードマップを確認する
4.重要事項説明 宅地建物取引士から説明を受ける 用意した質問をぶつける
5.契約の締結 署名・押印、契約金の支払い 契約書の解約条項を確認する

多くの方が不安を感じるのは、下の2段階に情報が集中している点でしょう。

上の2段階、つまり内見から申し込みまでの間に情報を取りにいければ、判断の余地は大きく広がります。

(参考:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」)

なぜハザードマップの説明が義務になった?2020年8月の改正の経緯

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かつて不動産取引では、水害のリスクについて説明する義務がありませんでした。土砂災害や津波については定めがあったにもかかわらず、水害だけが抜けていたのです。この状況が変わったのが2020年8月でした。背景と改正の中身を知っておくと、説明の場で何を確認すべきかが見えてきます。

1.背景にあるのは近年の大規模な水害

改正のきっかけとなったのは、各地で相次いだ大きな水害です。

平成30年7月豪雨や令和元年東日本台風では、広い範囲で住宅の浸水被害が発生しました。被災後に「この土地に水害のリスクがあると知らなかった」という声が上がったことが、制度を見直す契機となったのです。

もともと土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域については、区域内である旨を説明する義務がありました。一方で水害については、そうした定めが置かれていませんでした。

契約を判断するうえで水害リスクの情報が欠かせないという認識が広がり、説明事項に加えられることになったわけです。読者が気にしている点は、制度の側でも重要だと位置づけられています。

2.2020年8月の改正で加わった説明事項

改正されたのは、宅地建物取引業法の施行規則です。令和2年(2020年)8月28日から施行されました。

内容としては、重要事項説明の対象に「水防法にもとづく水害ハザードマップにおける物件の所在地」が追加されています。水防法そのものが改正されたわけではなく、説明に使う地図の根拠として参照されている点は押さえておきましょう。

使われるのは、市町村が配布している最新のハザードマップです。地図を渡すだけでは足りず、物件の位置を指し示して伝えることまでが求められます。

対象となる取引は、売買だけではありません。賃貸借契約でも同じように説明されます。部屋を借りる場合でも、こちらから頼まずに説明を受けられる事項だということです。

3.説明されるのは「地図上のどこに物件があるか」

では、実際にどのような形で説明されるのでしょうか。

示されるのは、洪水・内水(雨水出水)・高潮という3種類の水害ハザードマップです。それぞれの地図を提示したうえで、その物件がどのあたりに位置するかを伝えるという方法で行われます。

実務では、重要事項説明書にハザードマップを添付し、物件の場所に印をつけて説明するという形が一般的です。

なお、市町村がハザードマップを作成していない場合もあります。その際は、市町村に問い合わせたうえで「提示すべき水害ハザードマップが存在しない」という説明がなされます。作成されていないこと自体は、説明義務を果たしていないという意味にはなりません。

4.オンラインで説明を受ける場合の扱い

近年は、オンラインでの重要事項説明も広く行われています。

賃貸借契約では、テレビ会議システムなどを使って画面越しに説明を受ける方法が認められています。書面についても、相手方の承諾を得たうえで電子データで交付できるようになりました。

ルール自体は対面と変わりません。事前に送られたハザードマップを手元で見ながら、画面越しに説明を受ける形になります。

この仕組みは、前倒しで説明を受けたい方にとって使いやすい選択肢でしょう。店舗へ足を運ぶ日程を調整する必要がないため、契約日とは別の日に時間を取りやすくなります。遠方から部屋を探している場合も同様です。

(参考:国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の一部改正(水害リスク情報の重要事項説明への追加)に関するQ&A」)

重要事項説明で説明される災害リスク5項目と、説明されない項目

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重要事項説明では、災害に関する情報が複数の項目に分かれて説明されます。どれも「該当するときはその旨」という形で示されるため、当てはまらなければ触れられません。逆にいえば、説明された項目はすべて確認しておく必要があります。ここでは賃貸契約で対象となる5項目を挙げ、あわせて説明の対象外となるリスクも整理します。

1.水害ハザードマップ上の位置(洪水・内水・高潮)

前章で見たとおり、3種類の水害ハザードマップにおける物件の位置が示されます。

確認したいのは、色がついているかどうかではなく、その色が示す浸水の深さです。想定される深さと検討している部屋の階数を照らし合わせると、判断の材料になります。

内水は、雨水が排水しきれずにあふれる浸水を指します。川から離れた場所でも起こるため、洪水の地図だけを見て終わらせないようにしましょう。

地図の色や数字の読み取り方については、別記事で詳しく解説しています。事前に目を通しておくと、説明の場で内容を理解しやすくなります。

2.土砂災害警戒区域に入っているかどうか

物件が土砂災害警戒区域内にある場合、その旨が説明されます。

この区域は、土砂災害のおそれがある範囲として都道府県知事が指定するものです。斜面地の住宅地では、見た目が整っていても指定されていることがあります。

なお、より危険度の高い範囲として土砂災害特別警戒区域も指定されており、こちらも説明の対象です。2つの区域は危険度の段階ではなく、目的の異なる別の指定にあたります。

区域の意味や、区域内の物件で確認したいポイントについては別記事にまとめています。該当すると説明を受けた場合は、あわせてご覧ください。

3.津波災害警戒区域に入っているかどうか

津波災害警戒区域内にある場合も、その旨が説明されます。

この区域は、津波が発生した際に住民の生命や身体に危害が生じるおそれがあるとして、都道府県知事が指定するものです。避難体制を整えることを目的としています。

一都三県では、東京湾や相模湾、九十九里浜に面した地域が中心です。内陸部の物件であれば、該当しないことがほとんどでしょう。

沿岸部の物件を検討している場合は、区域内かどうかに加えて、避難場所や避難ビルの位置も確認しておくと安心です。

4.造成宅地防災区域に入っているかどうか

造成宅地防災区域内にある場合も、説明の対象となります。

これは、盛土や切土によって造成された宅地のうち、地震などで災害が起きるおそれが大きいとして指定された区域です。根拠となるのは、宅地造成及び特定盛土等規制法です。

耳慣れない区域かもしれませんが、斜面を造成して広がった住宅地では関係してくる場合があります。

指定されている地域は限られています。説明を受けた際は、どのような理由で指定されているのかを担当者に確認してみましょう。

5.耐震診断を受けている場合はその内容

建物の耐震性についても、一定の場合には説明されます。

対象となるのは、昭和56年(1981年)5月31日以前に新築の工事に着手した建物です。この時期より前の建物は旧耐震基準で設計されているため、耐震診断を受けているときはその内容が説明されます。

この項目は、売買だけでなく賃貸借契約でも対象です。古い建物を検討している場合は、説明の内容に注目しておきましょう。

ただし、診断を受けていない建物については説明する内容がありません。「説明がなかった=耐震性に問題がない」とは限らない点に注意が必要です。

6.説明されない災害リスクもある

ここまでの5項目は、いずれも法令で定められた説明事項です。逆にいえば、これら以外の災害リスクは説明の対象外となります。

災害リスクの項目 説明される内容 賃貸での対象 自分で確認したいこと
水害ハザードマップ 地図上の物件の位置 対象 浸水の深さ、避難場所
土砂災害警戒区域 区域内である旨 対象 擁壁の状態、斜面との位置関係
津波災害警戒区域 区域内である旨 対象 避難ビルや高台の位置
造成宅地防災区域 区域内である旨 対象 盛土や擁壁の状態
耐震診断 診断を受けている場合その内容 対象 築年数と建築確認の時期
地震の揺れやすさ・液状化 ― 対象外 都県や自治体の公開資料
内水ハザードマップの詳細 ― 対象外 自治体の内水の地図

つまり重要事項説明は、災害リスクの全体像を示すものではなく、法令が定めた範囲を確実に伝える仕組みだといえます。足りない部分は自分で補うという前提で臨みましょう。調べ方は別記事にまとめています。

(参考:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」)

重要事項説明書を契約前に受け取る3つの手順

説明のタイミングは法律で前倒しを禁じられていません。つまり、こちらから依頼すれば早い段階で内容を確認できる可能性があります。とはいえ、どう切り出せばよいか分からないという方も多いでしょう。ここでは依頼から確認、質問の整理までを3つの手順に分け、そのまま使える文例とあわせて紹介します。

1.手順①申し込みの前に書面の事前送付を依頼する

最初の一歩は、依頼を口に出すことです。

理由を添えると通りやすくなります。「家族と相談して決めたいので」「当日その場で判断するのが不安なので」といった一言で十分でしょう。

【依頼文の例】
「契約当日に内容をしっかり理解して臨みたいので、重要事項説明書の案とハザードマップを、事前にメールで共有いただくことは可能でしょうか。難しい場合は、災害リスクに関する項目だけでも教えていただけると助かります」

書面一式の事前送付が難しいケースもあります。条件が確定していない段階では、書類そのものが未完成だからです。

その場合は、ハザードマップ上の位置や区域指定の有無だけを先に聞くという頼み方に切り替えてみてください。口頭での回答なら、審査の前でも答えてもらえることがあります。

2.手順②受け取った書面とハザードマップで位置と避難場所を確認する

情報を受け取ったら、自分の目で確かめます。人から説明されるのを待つより、先に見ておいたほうが疑問点が整理されるためです。

確認したいのは次の5点です。

  • 物件の正確な位置:ハザードマップ上でどの色の範囲にあたるか
  • 想定される浸水の深さ:床下で収まるのか、床上まで届くのか
  • 区域の指定状況:土砂災害や津波の警戒区域に入っていないか
  • 最寄りの避難場所:どこにあり、徒歩で何分かかるか
  • 避難場所までの経路:途中に川や用水路、急な坂がないか

地図を見るのが初めてでも、住所を入力すれば確認できます。所要時間は10分ほどでしょう。

この段階で気になる点が出てきても、慌てる必要はありません。まだ申し込み前であれば、検討をやり直す余地が十分にあります。

3.手順③疑問点をメモにまとめ、説明の場で聞く

事前確認で生まれた疑問は、書き出しておきましょう。

説明を受ける場では、書面を読み上げられる形で進むことが多くあります。その場で疑問を思いつくのは難しく、後から「あれを聞けばよかった」となりがちです。

たとえば次のような質問が考えられます。

  • 「このハザードマップの色は、何メートルの浸水を想定したものですか」
  • 「過去にこの周辺で、浸水や道路の冠水が起きた記録はありますか」
  • 「指定されている避難場所と、そこまでの経路を教えてください」
  • 「避難経路の途中に、通れなくなるおそれのある道はありますか」
  • 「この建物の建築確認は、いつ受けたものですか」

メモをスマートフォンに残しておけば、当日はそれを読み上げるだけで済みます。その場で考える負担がなくなり、説明に集中できるようになります。

4.依頼を断られたときの受け止め方

事前送付を断られることもあります。そのとき、すぐに不誠実だと判断する必要はありません。

前述のとおり、条件が固まる前は書面が完成していない場合があるためです。「審査の結果が出てからになります」という回答には、業務上の理由があります。

判断材料になるのは、断り方のほうです。

  • 理由を説明したうえで、代わりに口頭で答えてくれるか
  • 「この時期になれば出せます」と見通しを示してくれるか
  • 質問そのものを避けようとしていないか

理由の説明もなく話題を変えられる、区域の有無すら答えないといった対応であれば、その姿勢は検討材料に入れてよいでしょう。契約を急ぐ必要はありません。

重要事項説明を受けた後にキャンセルできる?3つの段階で考える

説明を受けて不安が残った場合、そこから引き返せるのかは気になるところでしょう。結論からいえば、扱いは状況によって異なります。契約が成立しているかどうか、支払ったお金がどういう名目か、契約書にどう書かれているかで変わるためです。ここでは判断の軸を整理します。個別の事情によって結論は変わるため、最終的には契約内容の確認が欠かせません。

1.前提|賃貸借契約にクーリングオフの制度はない

まず押さえたい前提があります。

宅地建物取引業法にはクーリングオフの規定がありますが、これは宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地や建物の売買契約を対象としたものです。賃貸借契約には適用されません。

訪問販売などで使われるクーリングオフのイメージから、「一定期間内なら無条件で解除できる」と考えている方もいるかもしれません。賃貸ではその仕組みが使えないという点は、先に知っておく必要があります。

賃貸のキャンセルで判断の軸になるのは、契約が成立しているかどうかです。だからこそ、成立前の段階で判断することに意味があります。以下では、成立の前と後に分けて見ていきましょう。

2.契約が成立する前なら、申し込みを取り下げられる

契約が成立する前であれば、申し込みを取り下げことは可能です。

申し込みは契約そのものではなく、借りたいという意思を示す段階にあたります。賃貸借契約は貸主と借主の意思が合致して成立するため、承諾が出るまでは撤回の余地が残されているわけです。

このとき気になるのが、申し込み時に預けたお金の扱いでしょう。

宅地建物取引業者が、申し込みの撤回にあたって既に受領した預り金の返還を拒むことは、法令で禁じられています。申込金や申込証拠金といった名目であっても、契約成立前に預けたお金は返還されるべきものとされています。

「手付金として受け取っているので返せない」と言われた場合は、その主張が適切か確認しましょう。

3.契約が成立した後は、契約内容と状況によって扱いが異なる

一方、契約が成立した後の扱いは一律ではありません。

賃貸借契約では、解約の申し入れの方法や予告期間、違約金の有無が契約書に定められています。入居前の解約についてどう扱うかも、契約ごとに異なります。

そのため、「契約後はキャンセルできない」とも「必ず解約できる」とも言い切れません。確認すべきは次の点です。

  • 契約書の解約に関する条項に何が書かれているか
  • 支払ったお金のうち、返還されるものと返還されないものはどれか
  • 入居日より前の解約について特別な定めがあるか

解約予告期間が1か月前と定められている、といった取り決めが置かれているのが一般的です。まずは契約書を読み返し、そのうえで管理会社や仲介した不動産会社に相談するという順序が現実的でしょう。

4.説明に事実と異なる内容や不足があった場合

説明の内容自体に問題があったと感じるケースもあります。

宅地建物取引業者には、重要な事項について故意に事実を告げない行為や、事実と異なることを告げる行為が禁じられています。

こうした事情があって契約に至った場合、民法上の取り消しや損害賠償が認められる可能性もあります。ただし、成立するかどうかは個別の事情によって判断が分かれるため、自分だけで結論を出すのは避けましょう。

心当たりがある場合は、次のような窓口に相談できます。

  • 都道府県の宅地建物取引業を担当する部署
  • 消費生活センター(消費者ホットライン188)
  • 宅地建物取引業協会などの相談窓口

いずれも、契約の当事者ではない立場から状況を整理してもらえます。早めに相談するほうが選択肢は残りやすくなります。

5.自分がどの段階にいるか分からないときは

契約が成立しているかどうかは、書類の名前だけでは判断しにくいことがあります。

次の3つの軸で、自分の状況を確かめてみてください。

判断の軸 契約成立前の可能性が高い 契約成立後の可能性が高い
署名・押印 賃貸借契約書にまだ署名していない 契約書への署名・押印を済ませている
支払ったお金の名目 申込金・預り金として預けた 敷金・礼金・前家賃などを支払った
貸主の承諾 審査中、または承諾の連絡がない 貸主から正式に承諾の連絡があった

判断に迷う場合は、担当者に「現時点で契約は成立していますか」と直接確認しましょう。曖昧なまま話を進めないことが、後のトラブルを防ぎます。

契約前に情報を出す不動産会社に相談する

ここまで、制度の内容と自分からできる働きかけを見てきました。最後に、相談先を選ぶという視点を加えます。説明のタイミングも、説明の深さも、法律が定めるのは最低限の線だからです。その線をどう超えるかは各社の判断に委ねられており、そこに姿勢の違いが表れます。

1.説明のタイミングには会社の姿勢が表れる

法律が定めているのは「契約が成立するまでの間」という期限だけです。

この幅をどう使うかは、会社ごとに異なります。契約当日にまとめて説明する会社もあれば、検討の早い段階で情報を出す会社もあるということです。

どちらも法律には違反していません。だからこそ、借りる側にとっては判断材料になります。

事前送付を依頼したときの反応、質問への答え方、答えられない場合の対応。これらは契約前に確認できる数少ない手がかりです。物件そのものと同じくらい、誰から借りるかも検討の対象に入れてみてください。

2.ハザードマップを渡すだけでは足りない部分がある

もうひとつの視点が、説明の深さです。

行政のハザードマップは判断の出発点として有用ですが、万能ではありません。会計検査院の令和4年度決算検査報告では、複数の市区町村の水害ハザードマップに法令などで記載が必要とされる事項の欠落があり、記載が漏れていた箇所で実際に浸水が発生していた事例も確認されています。

加えて、想定を超える雨が降れば、色のついていない場所でも浸水は起こりえます。内水氾濫のように、洪水の地図ではカバーしきれない浸水もあります。

地図を渡して終わりにするか、その限界まで含めて伝えるか。ここに差が出ます。「この地域は白地ですが、周りより土地が低いので大雨のときは注意が必要です」と踏み込めるかどうかは、地域を知っている会社かどうにかかっています。

3.ゼン株式会社の相談窓口について

重要事項説明の内容が理解できるか不安、という段階でご相談いただいて構いません。

ゼン株式会社では、物件のご紹介だけでなく、契約前の段階で地域の安全性に関するご相談にも対応しています。ハザードマップの見方が分からないという状態からでも、地図を一緒に見ながら確認することが可能です。

当社は神奈川県宅地建物取引業協会に加盟しており、リスクマネジメントに関する体制も公式サイトで公開しています。判断に必要な情報を早い段階でお伝えすることを大切にしています。

説明を受けてからではなく、その前に知っておきたい。そう感じている方は、お気軽にお問い合わせください。

まとめ:重要事項説明は契約前に受け取れる情報として使う

重要事項説明は、借りる人が知らないまま契約してしまうことを防ぐための制度です。行われるのは「契約が成立するまでの間」と定められており、何日前までという決まりはありません。そのため実務では契約当日になりやすく、「後から渡された」と感じる状況が生まれます。

ただし、前倒しを禁じる決まりはありません。申し込みの前に書面の送付を依頼する、災害に関する項目だけでも先に聞く。こうした働きかけで、判断できる時期は動かせます。

説明される災害リスクは5項目あり、地震の揺れやすさなど対象外のものは自分で調べる必要があります。まずは候補物件の住所をハザードマップで確認し、疑問をメモにまとめるところから始めてみてください。

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