内水氾濫とは?外水氾濫との違いと賃貸で浸水を防ぐ対策をわかりやすく解説
災害・防災引っ越し先の候補地をハザードマップで調べたところ、色のついていない白地だった。ひとまず安心したのに、浸水想定区域の外でも被害が出ていると知り、何を基準に選べばいいのか分からなくなった。そんな状態になっていないでしょうか。
その戸惑いは、調べ方を間違えたために生じたものではありません。多くの方が最初に開く洪水ハザードマップは、川があふれる状況を前提に作られています。一方、雨水が流れきれずに起こる浸水は「内水氾濫」と呼ばれ、別の地図に示されているのです。
つまり、見るべき地図がもう1枚あるだけです。この記事では、内水氾濫が起こる仕組みと外水氾濫との違いを整理したうえで、リスクの調べ方と賃貸でできる対策までをまとめました。
内水氾濫とは?街なかで起こる浸水を3つのポイントで理解する
水害と聞くと、川の堤防が壊れる光景を思い浮かべる方が多いはずです。しかし街なかで起こる浸水には、川とは関係なく発生するものがあります。それが内水氾濫です。名前だけでは想像しにくいかもしれませんが、雨水の流れをたどれば仕組みは難しくありません。ここでは定義、起こる場所、被害の規模という3つのポイントから、全体像をつかんでいきましょう。
1.内水氾濫とは、雨水が排水しきれずにあふれる浸水のこと
内水氾濫とは、街に降った雨水が下水道などに流れきれず、地上にあふれ出す浸水を指します。
雨水は本来、道路の側溝から下水道の雨水管へ入り、川や海へ排出されていきます。ところが降る量が処理できる量を超えると、水は行き場を失ってしまうのです。
イメージとしては、洗面台に勢いよく水を流し続けた状態に近いといえます。排水口が壊れているわけではなく、流れ込む量が処理できる量を上回っているだけです。
なお、法律上は別の呼び方もあります。水防法ではこの現象を「雨水出水(うすいしゅっすい)」と呼んでおり、自治体の防災資料や地図を探すときにもこの言葉が出てきます。同じものを指す別名として、頭の片隅に置いておいてください。
2.川がない場所でも起こるため「都市型水害」と呼ばれる
内水氾濫のやっかいな点は、近くに川がなくても発生することです。
原因が川の水ではなく、その場に降った雨だからです。排水が追いつかなければ、川から何キロ離れた場所でも水はあふれます。
実際の光景としては、次のようなものが挙げられます。
- マンホールのふたから水が噴き出す
- 道路が一時的に川のような状態になる
- 駐車場や駐輪場に水がたまる
- 地下や半地下の空間へ水が流れ込む
特に注意したいのが、線路や道路の下をくぐる掘り下げ式の道です。周囲より低いため水が集まりやすく、短時間で深く冠水するおそれがあります。市街地に集中して起こることから、都市型水害と呼ばれています。
「川のそばではないから大丈夫」という前提は、いったん外して考えてみましょう。
3.浸水被害に占める内水氾濫の割合は小さくない
内水氾濫は、まれにしか起きない特殊な現象ではありません。国土交通省の水害統計では、全国の水害被害のうち一定の割合を内水によるものが占めています。
理由は、発生する範囲の広さにあります。川の氾濫が川沿いに限られるのに対し、内水氾濫は排水が追いつかない場所ならどこでも起こりえます。そのため、件数としては数多く発生しているのです。
さらに、都市部ほど内水の比率は高くなる傾向があります。地面の多くが舗装され、建物が密集している地域ほど、雨水が一気に排水施設へ流れ込むためでしょう。
気になって調べ始めたその関心は、心配のしすぎではありません。むしろ、部屋探しの段階で知っておきたい情報だといえます。
(参考:国土交通省「下水道による浸水対策」)
(参考:国土交通省「内水浸水想定区域図作成マニュアル(案)」)
内水氾濫と外水氾濫の違い|4つの視点で見分ける
ニュースでは「氾濫」という言葉がひとまとめに使われがちですが、内水氾濫と外水氾濫は別の現象です。原因が違えば、避難のタイミングも必要な備えも変わってきます。部屋探しをしている方にとっては、この違いを知っているかどうかで見るべき情報が変わる重要なポイントです。ここでは水の出どころ、起こる場所、進み方、地図での扱われ方という4つの視点から整理します。
1.違い①あふれる水がどこから来るか
最も基本的な違いは、水の出どころにあります。
外水氾濫は、川の水が堤防を越えたり堤防が壊れたりして市街地へ流れ込む現象です。対する内水氾濫は、その土地に降った雨水が排水されずにあふれるものを指します。「外」と「内」という言葉は、堤防の外側の水か内側の水かを表しています。
侵入してくる経路も異なります。外水氾濫では川から泥水や流木が押し寄せるのに対し、内水氾濫では側溝や排水口から水がせり上がってきます。
同じ「部屋が水につかる」という結果でも、水が来る方向が違うわけです。そのため、備え方もそれぞれに合わせて考える必要があります。
2.違い②どこで起こるか
起こる場所の広がり方にも、大きな違いがあります。
外水氾濫が起こるのは、基本的に川の周辺です。氾濫する川が決まっているため、被害の想定範囲もある程度は絞り込めます。
一方、内水氾濫は排水が追いつかない場所ならどこでも起こりえます。川から数キロ離れた住宅街であっても、周囲より少し低い土地であれば水は集まります。
部屋探しをしている方にとっては、この点が最も重要です。「川から徒歩何分か」という分かりやすい指標が、内水氾濫にはあてはまりません。
では何を見ればよいのでしょうか。注目すべきは、周囲と比べた土地の高さと、その地域の排水の状況です。地図での確認方法は第4章で説明します。
3.違い③どのくらいの速さで起こるか
浸水が始まるまでの時間の進み方も違います。
外水氾濫の場合、川の水位が上がっていく過程があります。水位の情報は公表されており、避難情報も段階的に出されるため、行動を起こす時間を取りやすいといえるでしょう。
これに対して内水氾濫は、短時間の強い雨によって急に始まります。降り始めてからわずかな時間で道路が冠水し、玄関先まで水が迫るケースも起こりえます。
避難情報を待ってから動き出すのでは、間に合わない場合があるということです。
だからこそ、あらかじめ自宅周辺のリスクを知り、行動の段取りを決めておくことが有効になります。準備さえしておけば、当日の判断はずっと楽になるはずです。
4.違い④ハザードマップでの扱われ方
そして、この記事の出発点となった疑問への答えがここにあります。
洪水ハザードマップと内水ハザードマップは、別の地図です。広く普及している洪水ハザードマップは、川があふれた場合の浸水範囲を示したものにすぎません。
そのため、洪水ハザードマップで白地だったとしても、それは「川があふれたときに浸水しにくい」という意味にとどまります。雨水による浸水まで否定しているわけではないのです。実際、洪水では白地でも内水の地図では色がついている、というケースがあります。
これが「白地なのに浸水した」と感じる最大の理由です。2枚の地図をあわせて見ることで、ようやく水害リスクの全体像がつかめます。
▼内水氾濫と外水氾濫の比較
| 項目 | 外水氾濫 | 内水氾濫 |
|---|---|---|
| 水の出どころ | 川の水(堤防を越える・堤防が壊れる) | 街に降った雨水(排水できない・逆流する) |
| 主な発生場所 | 川の周辺 | 市街地全般(低地・窪地など) |
| 進み方 | 川の水位上昇に伴い段階적 | 短時間の強い雨で急激に進む |
| 確認する地図 | 洪水ハザードマップ | 内水(雨水出水)ハザードマップ |
| 見るべき指標 | 川からの距離、堤防の状況 | 土地の高さ、排水の状況 |
内水氾濫はなぜ起こる?3つの原因と水が集まりやすい3つの地形
内水氾濫は、設備の不備や管理の怠慢によって起こるものではありません。もともとの設計が想定していた範囲を、雨の降り方が超えてしまうことで発生します。この構造を理解しておくと、どんな場所で起こりやすいのかを自分で見当づけられるようになります。ここでは3つの原因と、水が集まりやすい地形の特徴を順に見ていきましょう。
1.原因①下水道が流せる雨の量には上限がある
内水氾濫の最も基本的な原因は、下水道が処理できる量を超える雨が降ることです。
雨水を流す施設は、どれくらいの雨に対応するかをあらかじめ決めて整備されています。多くの都市では、1時間あたり50mm程度の雨が目安とされてきました。この量を超える雨が降れば、施設が正常に機能していても水はあふれます。
そして近年、その前提が揺らいでいます。国土交通省の資料によれば、1時間に50mmを超える短時間の強い雨の発生件数は、約30年前のおよそ1.4倍に増えているとされています。
ここで押さえておきたいのは、内水氾濫が誰かの落ち度で起こるわけではないという点です。設計の前提を雨の降り方が上回っているという、構造的な問題にあたります。だからこそ、住む側の備えにも意味が生まれます。
2.原因②川の水位が上がると雨水を流し出せなくなる
2つめの原因は、川の状態によって排水が止まってしまうことです。
下水道や水路は、最終的に川へつながっています。その川の水位が上がると、排水口が水に浸かって雨水を流し出せなくなります。場合によっては、川の水が水路へ逆流することもあり、この現象はバックウォーターと呼ばれています。
イメージとしては、浴槽の排水口を手でふさいだ状態に近いといえるでしょう。上から水を注いでも、出口がふさがれていれば水位は上がる一方です。
この仕組みから分かるのは、大雨のときには外水と内水のリスクが同時に高まるということです。川が増水しているまさにそのとき、街なかの排水も止まりやすくなります。2つの水害は連動して起こると考えておきましょう。
3.原因③舗装された地面が雨水を受け止められない
3つめは、土地の使われ方に関する原因です。
土や草地であれば、降った雨の一部は地中へしみ込みます。しかし市街地の地面は、その多くがアスファルトやコンクリートで覆われており、しみ込む余地がありません。降った雨はほぼそのまま排水口へ向かうことになります。
さらに建物が増えると、屋根に降った雨も雨どいを通じて一気に地上へ流れ落ちます。結果として、同じ量の雨でも排水施設に集まる水の量は増えてしまうのです。
かつて田畑や森林が水を受け止めていた土地が住宅地になれば、その分の受け皿は失われます。開発が進んだ地域ほど内水氾濫が起こりやすいのは、この理由によります。緑地や土の地面が少ない場所では、雨水の逃げ場が排水施設しかないと考えておきましょう。
4.水が集まりやすい3つの地形|低地・窪地・坂の下
原因が分かると、リスクの高い場所も見当がつきます。水は高いところから低いところへ流れるため、周囲と比べて低い場所に集まるからです。
| 地形 | 賃貸物件でいうとどんな立地か |
|---|---|
| 周囲より低い低地 | 川沿いの平坦な住宅地、埋め立てられた水路の跡地 |
| すり鉢状の窪地 | 線路や道路の下をくぐる道の周辺、谷間にあたる場所 |
| 坂の下 | 高台から続く坂を下りきった場所、階段の下にある物件 |
内見の帰り道に、物件から少し歩いてみるだけでも分かることがあります。四方のうちどの方向が上り坂になっているかを見れば、雨水がどこへ集まるかの見当はつくでしょう。
物件情報では「駅から平坦」といった表現をよく目にします。しかし見るべきなのは駅までの道のりではなく、敷地が周囲より低くなっていないかどうかです。
内水氾濫のリスクを調べる4つの手順|白地だったときの見方も解説
仕組みが分かったら、次は自分の候補地を調べる番です。内水氾濫のリスク確認でつまずきやすいのは、探すべき地図の名前が分かりにくいという一点に尽きます。逆にいえば、探し方さえ分かれば5分ほどで確認できます。ここでは4つの手順に分けて、内水ハザードマップの探し方から、公表がない場合の補い方までを説明します。
1.手順①洪水と内水は別の地図だと知る
最初の手順は、探す対象を正しく把握することです。
多くの方は、自治体のサイトで「ハザードマップ」と検索し、最初に見つかった洪水ハザードマップを見て確認を終えてしまいます。ここで止まると、内水のリスクは未確認のままです。
探すべきものの名称は、自治体によって次のように分かれます。
- 内水ハザードマップ
- 雨水出水浸水想定区域図
- 内水浸水想定区域図
- 浸水実績図(過去に実際に浸水した場所の記録)
「◯◯市内水ハザードマップ」「◯◯区雨水出水」といった組み合わせで検索すると見つかりやすくなります。名前が違うだけで、示している内容は同じ方向を向いています。
まずは開いている地図が何を対象にしたものか、タイトルを確かめるところから始めましょう。
2.手順②重ねるハザードマップで内水の情報を表示する
自治体のサイトを探す前に、全国共通のサイトから見るのも効率的です。
国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」には、「重ねるハザードマップ」という機能があります。洪水と内水の情報を同じ地図の上に表示でき、住所を入力するだけで候補物件の周辺を確認できます。
操作はスマートフォンからでも可能です。基本的な使い方は別記事で詳しく解説していますので、はじめて触れる方はあわせてご覧ください。
この記事で強調しておきたいのは、洪水の表示だけで確認を終えないという一点です。同じ地図上で内水の情報に切り替えると、見える範囲が変わることがあります。現地へ行く前の下調べとして活用してみてください。
3.手順③公表がない場合の調べ方
調べてみたものの、内水ハザードマップが見つからないというケースもあります。
内水浸水想定区域図は、すべての自治体が作成しているわけではありません。整備の途上にある地域も残っています。
その場合は、次のような情報で補ってください。
- 過去の浸水実績図を探す(実際に浸水した場所の記録)
- 自治体の防災ページで、道路が冠水しやすい場所の情報を確認する
- 重ねるハザードマップの「土地の特徴・成り立ち」で地形の分類を見る
- 自治体の下水道担当窓口へ問い合わせる
窓口への問い合わせは、ハードルが高く感じられるかもしれません。しかし浸水対策は自治体の業務の一部であり、住民からの相談を受け付けている部署です。「この住所の周辺で浸水の記録はありますか」と電話で聞くだけでも構いません。
4.手順④白地だったときに現地で見る3つのサイン
地図で白地だった場合も、そこで終わりにしないでおきましょう。内水氾濫は局地的に起こるため、地図が細かな高低差まで拾いきれない場合があります。
現地で確認できるのは、水の集まり方に関するサインです。
- 周囲より土地が低い:敷地が前面道路より低くなっていないか、四方のうち上り坂がどちらかを見る
- 坂の下や窪んだ場所にある:高台から続く坂の終点付近は水が集まりやすい
- 側溝や排水口が詰まりやすい:落ち葉やごみがたまっていないか、ふたの上に土砂が残っていないか
物件の周りを一周するだけで確認できます。時間にして3分ほどでしょう。
気になる点が見つかったら、その場で担当者に聞いてみてください。地域を扱っている会社であれば、過去の状況を把握している場合があります。
(参考:国土交通省「ハザードマップポータルサイト」)
(参考:国土交通省「内水浸水想定区域図作成マニュアル(案)」)
賃貸でできる内水氾濫対策|浸水被害を抑える4つのアクション
持ち家と違い、賃貸では建物に手を加えられません。そのため対策が難しいと思われがちですが、入居者の立場でもできることは複数あります。物件を選ぶ段階でできること、入居後に備えられること、大雨が近づいたときにとる行動と、時系列で整理していきましょう。費用をかけずに始められるものも含まれています。
1.アクション①物件選びの段階で見る4つのポイント
最も効果が大きいのは、物件を選ぶ段階での判断です。入居後の工夫では変えられない条件を、ここで決めることになります。
内水氾濫による浸水は、川の氾濫と比べて浅い場合が多いという特徴があります。そのため、わずかな高さの違いが被害の有無を分けることも少なくありません。
見ておきたいのは次の4点です。
- 階数:1階か2階以上かで状況が変わる。1階の場合は道路面からの高さを見る
- 半地下や地下の有無:半地下の居室や地下駐車場は水がたまりやすい
- 1階の給湯器や電気設備の位置:地面に近いほど浸水の影響を受ける
- 駐輪場・駐車場の場所:敷地内で最も低い場所にないか
1階だから避けるという話ではありません。道路より敷地が高い、設備がかさ上げされているといった条件がそろっていれば、リスクは下がります。
2.アクション②玄関や駐輪場からの浸水を防ぐ
入居後の備えとして最初に用意したいのが、水の浸入を防ぐ道具です。
内水氾濫の浸水は浅く収まる場合があり、簡易的な方法でも室内への浸入を食い止められる可能性があるからです。
賃貸で使いやすいのは、土のうと簡易水のうです。土のうは自治体が配布している場合があり、ホームセンターでも購入できます。玄関の前や駐輪場の入口に隙間なく並べて置くことで、浅い浸水なら防げるかもしれません。
より手軽なのが、ごみ袋を使った簡易水のうです。作り方は次のとおりです。
- 45リットル程度のごみ袋を2枚重ねる
- 水を半分ほど入れる
- 空気を抜いて口をしっかり縛る
- 段ボール箱に入れると形が安定し、並べやすくなる
なお、玄関に止水板を取り付ける、建物に加工を加えるといった対策は、貸主や管理会社の管轄になります。原状回復の問題が生じるため、必要だと感じた場合はまず相談してください。
3.アクション③トイレや排水口の逆流を簡易水のうで防ぐ
見落とされがちなのが、室内からの浸水です。
内水氾濫では下水道の水位が上がるため、建物側の排水設備から水が逆流する場合があります。玄関を守っていても、トイレや排水口から水があふれるという事態が起こりうるのです。
対策は、前項で作った簡易水のうをふたのように置くことです。トイレの場合は次の3ステップで設置します。
- 便座とふたを上げる
- 便器の中に簡易水のうをゆっくり沈め、排水口をふさぐ
- 便座とふたを閉じ、上から軽く押さえる
同じ考え方で、浴室や洗面所の排水口にも簡易水のうを置いて重しにしてください。洗濯機は排水ホースを抜いて排水口をふさぐか、上から簡易水のうを乗せます。キッチンのシンクも対象です。
準備にかかる時間は10分程度でしょう。大雨の予報が出た段階でごみ袋を用意しておけば、必要になったときにすぐ動けます。
4.アクション④大雨が近づいたときの行動を3段階で決めておく
最後に、当日の動き方です。段階ごとに決めておくと、判断に迷わずに済みます。
| 段階 | とる行動 |
|---|---|
| 大雨の予報が出たとき | 簡易水のうの材料を用意する。車を高い場所へ移す。側溝や窓の周りを確認する |
| 雨が強まってきたとき | トイレや排水口に簡易水のうを設置する。1階の家財を高い場所へ移す |
| 浸水が始まったとき | 無理に外へ出ず、建物の上の階へ移動する。地下や半地下、地下駐車場には近づかない |
浸水が始まってからの移動には危険が伴います。水深が浅く見えても、ふたの外れたマンホールや側溝は見分けられません。
情報の確認先も決めておきましょう。気象庁のキキクル(危険度分布)では、浸水害の危険度を地図上で確認できます。自治体の防災情報とあわせて見ておくと判断しやすくなります。
まず何から始めるか迷う場合は、防災情報を受け取れるアプリをひとつ入れるところからで構いません。
(参考:気象庁「キキクル(危険度分布)」)
(参考:内閣府「避難情報に関するガイドライン」)
内水氾濫まで踏まえた部屋探しは不動産会社にも相談できる
ここまで、自分で調べる方法と備える方法を見てきました。とはいえ、すべてを個人で判断には限界もあります。特に土地の高低差や過去の状況は、地図やインターネットの情報だけでは拾いきれません。ここでは、自力の確認では届きにくい部分と、不動産会社に相談することで補える範囲について整理します。
1.地図に表れない土地の高低差は現地で確かめるしかない
内水氾濫のリスクを左右するのは、周囲と比べた土地の高さです。ところが、この高低差は地図上では読み取りにくいという難しさがあります。
ハザードマップは一定の条件で計算された想定図であり、道路の細かな傾斜や過去の冠水の傾向までは反映されていません。内水ハザードマップが未公表の地域もありますし、公表されていても白地の場所はあります。
さらに、初めて訪れる土地で周辺一帯の高低差を把握するのは簡単ではありません。物件の前に立っただけでは、その場所が地域のなかで高いのか低いのか判断しづらいでしょう。
一方で、その地域で長く営業している不動産会社であれば、過去にどのあたりで道路が冠水したかといった情報を持っている場合があります。自力の確認に地域の情報を足す、という考え方が有効です。
2.契約前に不動産会社へ聞けること
遠慮せずに聞いてよい事項は、思っているより多くあります。
不動産会社は過去の取引や地域とのつながりを通じて、行政の資料には載らない情報を把握している場合があるからです。
具体的には、次のような質問が考えられます。
- 「この建物や周辺で、過去に浸水や道路の冠水が起きた記録はありますか」
- 「敷地は前面道路より高くなっていますか」
- 「大雨のとき、敷地内で水がたまりやすい場所はありますか」
- 「1階の給湯器や電気設備はどのあたりにありますか」
なお、水害ハザードマップにおける物件の位置については、重要事項説明で説明することが法律上義務づけられています。契約前の確認事項を整理したい方は、別記事もあわせてご覧ください。
回答がその場で得られなくても問題ありません。調べて折り返す姿勢があるかどうかが、判断材料のひとつになります。
3.ゼン株式会社の相談窓口について
内水氾濫という言葉を知ったばかりで、何をどう聞けばいいか分からないという段階でも構いません。
ゼン株式会社では、物件のご紹介だけでなく、契約前の段階で地域の安全性に関するご相談にも対応しています。ハザードマップの見方から一緒に確認することもできますし、候補の物件について周辺の地形や過去の状況を調べることも可能です。
当社は神奈川県宅地建物取引業協会に加盟しており、リスクマネジメントに関する体制も公式サイトで公開しています。判断に必要な情報を早い段階でお伝えすることを大切にしています。
気になる物件はあるけれど、水害の面で判断がつかない。そのような状態でも、お気軽にお問い合わせください。
まとめ:内水氾濫は「川から遠い=安全」ではないと知ることから始まる
内水氾濫は、降った雨水を排水しきれずに起こる浸水です。川の水があふれる外水氾濫とは原因が異なり、川から離れた市街地でも発生します。「川から遠いから大丈夫」という判断が通用しないのは、このためです。
洪水ハザードマップで白地だったとしても、確認が無駄だったわけではありません。もう1枚、内水ハザードマップという地図があるというだけのことです。2枚の地図に土地の高さという視点を足せば、判断材料は十分にそろいます。
賃貸でできる対策も、物件選び・止水・逆流防止という3つの方向に整理できます。すべてを完璧にこなす必要はありません。まずは候補物件の住所を入力して、内水の情報を表示してみるところから始めてみてください。

